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2回目のダンジョンクリア

 ラスボスはコボルトファイターだ。

 こちらはボクシングではなく総合格闘技になる。


 武器を装備するパターンの場合は、鉤爪みたいなヤツを両手に着けている。


 前のパーティーが終わったようで、扉に付いてる水晶玉の色が変わった。

 誰かが入ってると赤く、出たら青くなる。トイレのドアか。


 扉をゴゴゴと開いて進むと、魔法陣から現れたのはウル●ァリンもとい鉤爪のコボルトファイターだ。


 シエルを出して支援魔法をお願いする。

 今回は攻撃力を上げて貰った。


 氷魔法で遠くからアイシクルランスを放つ。

 避けられてしまったが、体勢を崩しているのでチャンスだ。


 俺は魔法を打つと同時に走り出していたので、その勢いを使って炎剣で切り付ける。


 咄嗟に鉤爪で受けようとしたみたいだが、俺のステータスが勝っていたので、鉤爪ごと押し込まれ首筋に炎を纏った刃が刺さる。


「グアァッ!」


 コボルトファイターの叫びと一緒に焦げ臭い煙が出たが、直ぐにコボルトファイターと共に消えた。


 普段使わないスキルを使ってみたが、素早い相手に遠距離攻撃は駄目だな。


 もっと熟練すれば連射が出来るのかもしれないが、アイスバレットの方が氷が複数打ち出されるので効果的かな。


「トキ、お疲れ様。最後は力業だったね」


「あ、うん。ちょっと色々試してみたくて。シエルの支援魔法もレパートリーが増えたし」


「まあ、鉤爪で攻撃されてもHPが1減るかどうかだと思うけど、気をつけてね」


「わかってるよ」


「そのカットソーが切り裂かれたらポロリしちゃうから」


 俺のポロリなんて誰得なんだよ。

 何かゾワゾワしたので、胸当てを装着した。


 いつも家庭教師キャラではそんな事を言わないのに、コーチャン(変態)が出てるよ。


「トキと二人きりだから気が抜けてたよ」


 さ、ドロップや宝箱を回収しなきゃ。


 ボスドロップは鉤爪で、宝箱は素早さアップの指輪だった。

 やはりパーティーメンバーが2人+1体だと報酬が良くなるようだ。


 ポーションに比べると買取価格が段違いだ。


 転移水晶の登録を終えてコアルームへ。


 コアガチャは今回も出たので、クリアすると毎回貰えるのだろうか。


 スキルに罠設置が増えていた。

 落とし穴や矢が飛び出す罠を仕掛けられるスキルだ。


 地図に比べるとショボいが、あれは初回特典みたいなものだったのだろう。


 通常のクリア報酬は、HPポーション(大)とシエルの分で解毒ポーション(大)にした。

 コーチャンにMPポーション(大)を貰ったので、これも全種類コンプリートした事になるのかな。


 転移水晶で5階に飛ぶと、そのまま4階まで戻る。


 ここのボスは5時間で復活なので、1日で2回倒せるのも人気の要因かな。


 殆どの人が探活を始めたばかりで、1~3階に集中しているため、ボス部屋に並んでいる人はいない。


 これが夏休み後半になると行列が出来るのだとか。


 4階のオナモミ群生地にやって来た。


 地図を見ると、やっぱり光点の数がハンパないんだけど本当にやるの?


「トキなら大丈夫だよ」


 爽やか笑顔で見送られる。


 火魔法でもあれば遠距離攻撃で楽勝なのだが、炎剣を発動しオナモミに近付く。


 物凄い数のオナモミの種が飛んで来るが、当たりそうな範囲の種だけを切り捨てる。


 当たっても大したことはないが、全身オナモミだらけになりたくないので必死だ。


「ああ、もう、鬱陶しい!」


 キリがないので炎剣に魔力を込めて長さを3倍に伸ばす。


 水平に円を描くように薙ぎ払うと周囲のオナモミが消えた。


 これで一息つけるな。


 拾ってくれたコーチャンからドロップアイテムを受け取る。


 魔石が8個にHPポーション(中)が2個、それから超レアドロップの面ファスナーが1個だった。


 チケットは割愛。


 超レアドロップが面ファスナーって微妙じゃない?


「これは魔力を流すと粘着力が強力になるテープだよ」


 貼り付ける場所や素材にもよるが、テープ面が5cm程度でも100kgまでは耐えられるそうだ。


「なんなら、トキを背中合わせに貼り付けて歩けるよ」


 遠慮します。


 面ファスナー側は魔力を流すと逆に剥がれやすくなるので、着脱で劣化し難くなるし剥がす時の音もしないそうだ。


 ステータスを獲得したらMPは必ずあるので、誰でも魔力を流す事が出来る。

 魔力を流そうと思えば、何となく使えるのだ。


 そこに魔法スキルがあれば魔法になるし、魔力が必要なアーツなんかも使える。

 炎剣の炎が延びたりするのとかね。


「ひょっとして探索者用の靴に使われてるヤツ?」


「そうだよ」


 紐靴だと紐が切れたりほどけたりするから、面ファスナーの靴は人気だ。


 高ランクの探索者ならドロップアイテムの、サイズが自動調整される靴を履いてるけどね。


 炎剣で残りのオナモミを薙ぎ払いながら進むと、漸く壁が見えた。


 初めにここまで来ようと思った人は、頭がおかしいヤツに違いない。


 失敗して服に付いたオナモミをライターで焼いておく。


 進行方向だけ倒せばいいと思ってたら、全滅させろとかコーチャンも鬼畜の職業があるんじゃないの?


 面ファスナーが更に2個出たよ。


「ここが隠し部屋だった場所だよ。どう、何かある?」


 壁の一部が不自然に凹んでいる場所がある。


「何もないよ」


 地図を見て薄々わかっていたけどね。

 隠し部屋は縮尺が広範囲だと判別し辛いけど、あると判っていれば確認出来るからな。


「どうやら隠し部屋があった場所に、もう1度出る事はなさそうだね。もう少し検証は必要だけど」


 隠し部屋は、アイテムを取って部屋を出ると消えてしまう仕様だ。


 だからこそ、初期の探索者ほどレアアイテムを多く手に入れる事が出来たのだ。


 しかし、ランクの高いダンジョンの広大なフィールドだと見落とししている場合があるので、今でもたまに見つかる事もある。


 宝箱はたまに落ちてたりするけど、隠し部屋の方が良いアイテムが出るので、初期の頃は隠し部屋(トレジャールーム)ハンターなんて人がいたそうだ。


 その人達がダンジョンの隅々まで探索しているから、ランクの低いダンジョンの隠し部屋は既にないと言われている。


 だから、俺達が見つけた隠し部屋は新たに造られたと推測出来る訳だ。

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