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蜂から採らなくてもハチミツ

 順調に3階までやって来た。

 地図を確認すると、この階は10組程がいるようだ。


 ついでにセイクリッドほにゃららを確認すると、まだ1階にいるようだ。


「さて、一番近いモンスターを倒してみようか」


 この草原ダンジョンは獣系や植物系のモンスターが多い。


 代表的なのがレッサーフォックスだ。


 ここにきてビッグの付く名前じゃないのは、普通の狐より少し小さいからだ。


 狐より劣る(レッサー)って弱そうなのだが、牙をむいて向かってくる様子は弱そうに見えない。


 3階はモンスターが2体で出てくるが、狐色で遠くからでも比較的見つけ易く、遠距離攻撃があれば安全に倒せる。


 お馴染みのスライムやビッグモールにビッグラットもいるが、スライムは草を枯らしてしまうので、色の違う場所で判断する事が出来る。


 ビッグモールは草が生えていない地面に現れるので、これも簡単に見つかる。


 ビッグラットだけは草影から出てくるのだが、何故か出る前にチチッと鳴くので不意打ちにならない。


 ミミズもいそうなフィールドなのに出て来ないのは、ダンジョンごとにモンスターの種類に上限があるからと言われる。


 植物系では、ビッグザンティウムが出る。

 見た目は大きなオナモミだ。


 草から少しはみ出して生えているので良く見ればわかるが、イガイガの付いた拳大の種を飛ばしてくるので注意が必要だ。


 これも遠距離攻撃があると簡単だが、種を全部飛ばしてしまうと無防備になるので、種が新しく生える前に倒せば良い。


 服に着いた種を取ろうとしたら、手や服にダメージがあるから着かない様に避けるのが基本だ。


 と言っても、ライターの火で焙るだけで消えるので、戦闘が終わってから落ち着いて取れば良い。


 因みに取った種を植えてもモンスターは生えないので、本当の種ではないのだそう。


 サクサクと倒しながら、途中で見つけた薬草も採取していく。


「ここだよ」


「流石はトキだね」


 そこには濃いピンク色の花が、直径50cm程の範囲に咲いていた。


 見た目通り蓮華なのだが、これからハチミツが取れるのだ。


 普通の蓮華より少し大きいくらいの花をプチッと千切ると、用意した瓶に入れる。


 3本入れると次の瓶を出して入れるのを繰り返して、全ての花を回収する。

 不思議な事に花を採取すると、じわじわと蜜が溢れてくるのだ。


 鑑定すると名前がハチミツ(蓮華)なので、これはハチミツなのだとギルドも言っている。

 蜂の存在意義とは。


 3本の蓮華から約150mlが取れ、買取価格は1瓶で800円となかなかの買取価格なのは、県内では草原ダンジョンの3階だけでしか採取出来ないためだ。


 採取した瓶を割れない様に専用の箱に入れる。


 この瓶と箱はギルドで前もって買っておいた専用の物だ。

 これで納品すると査定が簡単なので、ハチミツ目的なら準備は必須だ。


 もちろん自前の入れ物でも構わないが、その場合は量を確認するのに時間がかかるし、衛生面の心配もあるため、あまり良い顔をされない。


 探索者価格で10個入りの箱が300円なので、買わない人は少ないのだけど。

 ただし瓶の転売は禁止なので、余った瓶は返却して貰って返金するシステムだ。


 瓶と箱は割れにくい素材なのだが、何かあって壊れると勿体ないので、アイテムボックスに入れておいて帰りにリュックに入れ替えるつもりだ。


 全ての花を回収すると葉っぱも消えるが、また別の場所に生えてくる。


 花を1本でも残しておくと、数時間で同じ場所に生えるのだが、今日は勝負なので短期で取れる方法を選んだ。


 地図は検索する機能が付いていたので、名前や実物を知っている物なら表示されるのだ。便利過ぎてヤバい。


 狩りをしながら蓮華採取をしていると、持って来た瓶が無くなった。


「さて、それじゃあ5階まで行こうか」


「了解」


 4階はスライムとビッグモールがいなくなり、オナモミが増えて動きに制限がかかる不人気フロアだ。

 パーティーもぐっと減って3つしか光点がない。

 ルート的に5階に行くのが目的で、ここは通り抜けるだけなのだろう。


 俺達は地図でモンスターを避けられるので、20分少々で駆け抜けた。

 少しずつ広くなっているのもあって、こんなものだろう。


 5階はオナモミがなくなり、モンスターは3体で出てくる。

 同じ種類の時もあれば3体とも別のモンスターの事もある。


 レッサーフォックスが3体だと少々厄介だが、俺のステータスなら余裕だ。


 階段の前に崩れた神殿の様な遺跡があり、そこがボス部屋になっていた。


「あ…」


「どうした?」


「隠し部屋があるよ」


 地図を広範囲で表示していた時は気付かなかったが、部屋の中に斜線で囲まれた部分がある。


「ここもか…ひょっとしたら、ガチャが世界初のユニークスキルとして誕生したから、ダンジョンもそれに合わせて変化しているのかもしれないな」


「どういう事?」


「このダンジョンは広いとは言え、隅々まで探索は済んでいるんだ。こんなわかりやすい場所に隠し部屋があるのは、新たに作られているのかもしれないって事さ」


「なるほど」


「トキがクリアしたダンジョンも、ギルドの記録を見直したら、5階のボス部屋の隠し部屋は発見済みになっていたよ」


 それで、モグラダンジョンの5階は隠し部屋がなかったのか。


「10階も隅々まで探索したけど見つからなかったと報告がされていたから、もしかしたらとは思っていたんだ」


 そうなんだ。


「ここもボス部屋の隠し部屋はなかったはず。あったのは4階のオナモミ群生地の奥の壁だったから、後で確認してみようか」


「うええ」


 それって服がオナモミだらけになるじゃん。


「炎剣でやれば大丈夫だよ」


 それはあの光点の数を見てないから言えるんだよ!

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