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レイドシステム

 全員の声が揃ったが、キラキラと光る感じには見覚えがある。


 これって契約魔法?


 ダンジョン受付で会議室を借りて、そこでルールの確認をしようなんて言われた時から怪しいと思っていたが、これをやる為だったのか。


「なんだこれは!?」


 モヤシっ子が喚くが、時既に遅しだよ。


「契約魔法だよ。ルールが違うとか約束を守らないなんて事がないように、僕のスキルを使わせて貰ったよ」


「な、聞いてないぞ!勝手にスキルを使うなんて、ギルドに言うぞ!」


「なんて言うつもりかな?契約魔法と言っても、さっき確認した勝負のルールと、勝った時にお互いが要求する内容を守れば、何の問題もないものだよ?それともルールや約束を守らないつもりなのかな?」


「な、そんな卑怯な真似はしない!」


「なら、何の問題もないよね?」


「クッ。わかった。どうせ勝つのはオレ達だ」


「それじゃあ、時計を合わせようか」


 探索者なら魔道具の時計を用意しているから、その時間を合わせる。


 俺は結局ガチャで出た、"時を刻むブレスレット"じゃない時計を着けている。


 使っていたら、姉ちゃんに笑われた上に取り上げられたのだ。

 売ったら8万円と言ったら驚くだろうが、オサレ過ぎて俺に似合わないのはわかっていたので諦めた。


 なので、その後にガチャで出た"深海のダイバーウォッチ"を使っている。


 ランクは同じCなのだが、目覚まし機能はない代わりに高い防水性とライトが付いている。

 海で活躍しそうな仕様だね。


 コーチャンの念の入れようが怖いが、少しでも時間に遅れたとかでクレームを付けられないためだとか。


 ギルドの時計に合わせて、不正が出来ないようにする。


 勝負は10時スタートだ。

 それまで装備に着替えたり準備に問題がないか確認する。


 と、言っても俺達はアイテムボックスがあるし、装備もいつも通りで問題ない。


 今の俺は、"迷彩のスキニーパンツ"に"俊足のブーツ"のガチャアイテムを装備している。


 "四季のミリタリーシャツ"を着ようか迷ったが、Bランクのアイテムはまだ使用するのは危険なので、Dランクの″グレーのカットソー″にライダースジャケットを羽織っている。


 因みにグレーとは、二足歩行の宇宙人みたいな見た目の植物の事で、大きな目に見える種から綿が採れるのだが、それを使っていると備考に書かれていた。


 武器は爺ちゃんに貰った、使いなれた刀を佩いている。


「さて、そろそろ時間だね。用意はいいかい?」


「ああ。尾藤さんだっけ?その年でC級に上がれないなんて大したことなさそうだけど、こっちには1年でD級に上がった、スーパールーキーの野母(のも)先輩もいるが、悪く思うなよ」


 コーチャンはA級だし、俺もスーパールーキー(笑)になるけどな。


「パーティーメンバーの等級は、ギルドの規定通りなら文句はないよ」


 そこを認めないと俺達が参加出来なくなるから、勝負が成立しないもんね。


 特例法の条件のB級以上の探索者とギルド職員を、コーチャンが兼任すると言う裏技だぞ。


「アラームが鳴ったら、スタートして良いからね」


 入口の前で並んで待っているので、実際は職員の許可がいるのだが、順調に流れているので問題はなさそう。


 ピピピ、ピピピと一斉にアラームが鳴り出す。

 俺だけアラームが付いてないから仲間外れだが、全員がセットする必要はなかったんじゃね?


「よし、行くぞ!」


「「「「「おう!」」」」」


 リーダーの掛け声に返事が揃っているなんて、練習したのかな?


 因みにリーダーはモヤシっ子ではなく、厳つい角刈りの高校生(スーパールーキー)だ。


 走り去ったセイクリッドほにゃららを見送って、歩いてダンジョンに入る。


「それじゃあ、先ずは3階まで行こうか」


 もちろんYesだ。


「T&K出動だ」


「そのパーティー名やめない?」


 何でその名前が誰にも使われてないんだよ。


「やだ。いつかトキとパーティー組む為に登録してたんだから」


 な、なんだってー!?


「そんなに前から登録してたの!?」


「K&Tは取られてたから、こっちになったけど、トキファーストだから問題ないよね」


 問題大有りだよ。

 そんな理由で使ってないパーティー名を登録している人なんて、普通はいないだろ。


「ほら、モンスターとの戦闘はなるべく避けてね」


 タメ息を飲み込んで、地図と索敵を使う。

 モンスターや他の探索者を表す光点を見て、最適なルートを考えながら走り出す。


 マラソンランナー並みのスピードで、1kmを3分以内で進むと15分程で階段までたどり着いた。


 2階も同じように走り抜ける。


 他のパーティーに目撃されてしまうが、認識阻害のネックレスで俺達の顔はわからないので、気にせず走る。


 GW中は利用者が多いとは聞いたが、1階と2階ともに50組はいた。


 5km四方の広さとは言え、モンスターの数は限られるから、リポップが間に合わないんじゃないの?


 これじゃあ、受付も混むはずだ。


 俺達も9時に受付したのに入れたのは10時だったからな。


 本来は前のパーティーから3分後に次のパーティーを入れるのだが、セイクリッドほにゃららと一緒に入れたのは、レイドシステムのお陰だ。


 レイドシステムが実装された事で、ボス部屋に一緒に入れるようになったのは大きな変化だ。


 レイドはゲームでは複数のパーティーでボスを倒す方法だが、ダンジョンでは6人以下のルールさえ守れば、複数のパーティーで一緒に探索する事が出来る。


 厳密には何人一緒にやってもいいのだが、経験値が入らなくなるからな。


 同じパーティーに入ればと思うだろうが、活動の方針なんかが違ったり、フルメンバーが集まらないパーティーもあるからな。


 普段は別々に活動していてボスだけ協力するとか、メンバーの都合がつかない時の助っ人などで使われる事が多い。


 本来なら人数オーバーなので、禁止されてはいないが、やろうとするパーティーはいないと思う。


 とは言え、人数オーバーでは経験値が入らないので、ダンジョンに入ったところでレイドを解散しておく。


 これを使えば早く入れるって知ってる人が、どれだけいるんだろう。


 全ての規則を網羅しているなんて、流石はコーチャン(グラマス)だ。

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