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下着は外に干さない

 ヨーへーのバイトがあるので、放課後は時々しか出来ないが、土日は雅美さんも参加したりと、4月はのんびり探活した。


 特殊部隊も再開していて、放課後にちょこちょこ活動してたから、森林ダンジョンも3階まで進んでいる。


 ヨーへーはバイトを辞めるつもりだったのが、店長に泣き付かれてゴールデンウイークは働く事になったので、やはり女に弱いのは遺伝か。


 連休中は特殊部隊もお休みなので暇になった。


 怪しい4人組がD級ダンジョンで無双してたら、いくら認識阻害があっても噂になってしまうので、出来るだけ人が込み合う時期は避けたいと言うのが理由だ。


「それなら、ギルドでアルバイトしない?」


 ガチャアイテムの精算に来たコーチャンからの提案に聞き返す。


「特殊部隊じゃなくて?」


「普通の事務だよ。資料整理とかデータ入力の簡単な仕事なんだけど、イレギュラー対策で溜まってる上にGWは事務員は原則休みだから、手伝ってくれたら助かるよ」


「母さんが許可してくれたらね」


「オレからも連絡しておくよ」


 コーチャンが言えばOKに決まっている。

 いつの間にか母さんから絶大な信頼を得ていたからね。


 やはりイケメンスマイルなのか。

 でも父さんと結婚しているんだから、男は顔じゃないはずだよね?


 いや、先に厳つさに目がいくが、若い時の写真は顔は濃いがイケメンだった。


 おかしいな?

 美人な母さんとイケオジの父さんから、何故かフツメンが生まれているよ?


 俺は爺ちゃん似だから…って慰めになってないし。

 だって爺ちゃんの若い時の写真は見たことないんだもの。


 でも、歳を取るとイケジイになる…って爺さんになってからモテてどうする。


「トキはそのままで良いよ。オレが老後も面倒をみてあげる」


 コーチャンは黙ってて!

 俺は可愛いお嫁さんを貰って、子供も2人は欲しいし、孫も抱きたいのだ!


「夢を見るのは自由だからね」


 ほっとけ。


「コーチャンだって彼女いないんでしょ」


「オレは面倒なのは御免だからね」


 ストーカーとか私物を盗まれたりとかあったんだって。

 それはキモい…だがファン心理としては理解出来る面もあるジレンマ。


「モテるのも大変だね」


 まさかそれで女性が駄目になったとか言わないよね?


「たまに男もいるから厄介だよ」


 おぅふ。

 フツメンで良かったと思ったのは初めてかも。


「それって、ファンとかじゃなく?」


「ファンだとしても、下着を盗むのは犯罪者だよ」


 ぎょえー!

 俺なら耐えられない。


 たまにニュースとかで、盗まれた物を警察が並べてる映像があるが、あんな感じで自分の下着を並べて検証してると思うと、犯人より被害者にダメージだよ。


 もしかして警察に現物確認とかさせられて、この下着が自分のですとか言うの?


 落し物でも確認させられるんだから、きっとそうに違いない。


「まあ、オレのはダミーで干してた新品だったけど、女性だったら嫌だろうね」


「ダミー?」


「昔から私物がよく盗まれるから、靴下や下着なんかは外に干さないようにしてたんだよ」


 でも、それだと今度はノーパン疑惑が出るから、ダミーを干してたんだとか。


 今は乾燥機の性能が良くなったから、洗濯物を全て干さないようにしているんだって。


 そう言えば母さんが、昔の乾燥機はポリエステルとかだと表面が溶けてテカテカに光るから、半乾きくらいにしてから干してたとか言ってたな。


「あれ?コーチャンってグラマスなんだから、ギルドの建物に住んでるんじゃないの?」


 あそこなら、下着が盗まれるなんて事はなさそうだけど。


「いや、オレはずっと実家暮らしだよ」


「え?実家?ここから近いの?」


「ああ、そうか。トキは小さかったから覚えてないかな。1度だけ遊びに来た事があるんだけど」


 そうだっけ?


「巧乃さんの道場の裏山を挟んで反対側になるんだけど」


 うっすらと、そんな気がしないでもない。

 どこかの家で、大人の人に遊んで貰ったような…


「トキったら、薪割りをしてたクソオヤジをキラキラした目で見てたから、俺も剣で細切れにしたら、凄い喜んでくれたんだよね。あの頃のトキも可愛いかったなぁ」


 細切れにしたのは薪だよね?

 薪割りなのに剣で細切れとか駄目じゃね。


「全く覚えてないや」


「まだ3歳だったから仕方がないか。コーにいちゃって、初めて名前を呼ばれた時は感動したよ。舌足らずなのが可愛くてさぁ」


 恥ずかしいから止めて。


「そんな事より、バイトの予定を決めとこうよ」


「もう、照れちゃって。そこも可愛いんだけど!」


「お帰りはあちらです」


「ごめんごめん。ちゃんと予定を決めよう」


「もう。人の嫌がる事ばかりしたら駄目だよ」


「だってトキの反応が可愛いんから仕方がない」


「今度から、アイテムの精算はサブマスに頼もうかな…」


「だ、駄目だよ!優太がトキの部屋に入るなんて、そんな危険な事は!」


 どう言う意味だよ!?


「トキの部屋がオッサン臭くなるだろ!」


 それは一理あるかも。


「なら、揶揄ってばかりいないで、真面目にやってよ」


「わかったよ」


 やれやれ。


 初日は慣れるため3時間にして、翌日からは大丈夫そうなら5時間にすると言う事で、午前か午後かは何故かコーチャンの予定に合わせて決められた。


 トキを1人にしたら変な虫が付くとか、訳のわからない事を言っていたが、人見知りのコミュ障なので内心では助かったと思った。

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