表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/173

母が強いのは世界の真理

 結論から言うと条件付きでOKだった。


 その条件は、女の子と一緒のパーティーは駄目って事は予想通りだったが、もう一つあった。


 それは、オバサンもダンジョンに連れて行く事だった。


「え?」


「あら、私も探索者の資格は持っているのよ?D級だから3年毎に更新してるんだけど、必要ポイントが少し足りないのよね」


 更新する時は期限までの間に、決まったギルドポイントをクリアしないと更新出来ない。


 F級は見習いなので更新にギルドポイントは必要ないので、ステータス獲得だけが目的なら、講習を受けずにF級のままにしておく方が面倒がないのを知らない人は意外といる。


 と言っても、E級は10ポイントなのでヒール草などの薬草を100本またはドロップアイテムを50個売ればいいから、月に1~2度活動してればクリア出来る。


 薬草の方が数が多いのは、モンスターハザードをさせない為には、モンスターを倒さないといけないので、ドロップアイテムの方が貢献ポイントが高いのだ。


 だからビッグモールの爪も買取り0円だけどポイントにはなる。


 しかし、ランクEのモンスターは同じアイテム5個で1ポイントと計算されるため、レアドロップの爪を5個集めるまでに通常ドロップや魔石の方が50個以上出るため、ハズレアイテム扱いされても仕方がない。


 D級は3年間で200ポイントだが、毎月2~3回くらい探索していればクリアする事は可能だ。


 ランクDからはアイテムの納品依頼も出てくるから、普通に買取に出すよりポイントも高くなる事もある。

 更にレアアイテムも物によってはポイントが高く設定されている。


 この更新ポイントは使うと消えるのだが、余分なポイントは繰り越しされるので、余裕がある時に貯めておく事も出来る。


「母さんはダンジョンに行ってたのかよ」


 ヨーへーが呆然として呟いているが、知らなかったのか。

 俺も驚いたが、何か納得した。

 だって力がやけに強かったからね。


「あのクソ野郎と出会ったのも、ギルドのパーティー募集でって言ってなかったっけ?」


 おぅふ。元夫をクソ野郎呼ばわりする目付きがトラウマを刺激する。


「あ~、何か言ってたような?」


 そしてヨーへーは華麗にスルー。


「まあ、結婚を機に更新のための最低限の活動しかしてなかったからね。まさか、私が時々参加していたパーティーに、浮気相手がいるなんて思わなかったけど」


 ヤバい、またハイライトが消えている。


「それなら、母さんも探索者で稼げばいいのに、何でスーパーのパートなんてしてたのさ」


「そりゃあ、ギルドに行く度に思い出してムカつくからよ!」


 こらヨーへー、寝た子を起こすなよ。

 あの頃のオバサンと同じ表情になってるじゃないか。


 考えろ、何かで気を逸らせるのだ。


「雅美さん、俺たちと一緒にダンジョンに行って、探索が楽しかった事を思い出しましょう」


「え?」


「だって、カードを更新していたって事は、探索者を辞めたくなかったんでしょう?それに休業届を出しても良かったはずなのに、ちゃんと探活をしていたのは、好きだからじゃないんですか?」


 そう、休業する場合、ギルドに正式に届け出たら休業証明が貰えるのだ。


 これは、子育てで更新出来ずに引退してしまう探索者が多いため、更新せずとも資格を失わないようにするための措置だ。


 その他にも、怪我や病気の治療など一定の条件を満たせば、休業と認められる。


 休業中は更新ポイントは不要になり、復帰する時に試験を受けるだけで良い。

 これは、休業中はダンジョンに入れないため、実力が下がっていると危険だからだ。


「本当、朱鷺君たら大人になったのね。そうよ。流石に産休と育休は取ったけど、その後に探活を再開したのは好きだからよ。本当はC級までいってたんだけど、あのバカと別れてからダンジョンに行く気がしなくて、ポイント不足で等級を落としちゃったのよ」


 更新期限までにポイントが足りなかった場合は、更新しても降級になってしまうからな。


 オジサンと浮気相手がいるかもと思うと、ギルドに行けなかったんだって。


 やっぱり刃傷沙汰はまずいでしょ?って怖いな。


 次の更新までの残りポイントの通知が来て慌ててポイントを貯めたけど、やはり何度も行く気にはなれなくて、今もギリギリの探活しかしていないそうだ。


「おい、マジで母さんと一緒にダンジョンに行くのか?」


 こそこそと聞いてくるヨーへーに頷く。


「ヨーへーが探索者になる条件だからね」


「勘弁してくれよ」


「まあ、いいじゃん。元C級ならアドバイスとか貰えるし、何かあっても対処出来るから心強いだろ」


 ダンジョンは自分の等級より下でも入れるからね。


 稼ぎが違うから入る人はあまりいないけど、モンスターハザードが起きた時に、高ランク探索者が入れないなんてなると困るからだ。


 ただし、パワーレベリング対策として、同じパーティーに入れるのは前後1等級までと決まっている。


 昇級する時も規定のポイントが必要なのだが、これもパーティーメンバーの力で一気にダンジョンクリアして昇級させるのを規制するためだ。


 俺とオバサンは、E級~C級までの人と組めるって事なので、ヨーへーが講習を受ければパーティーが組める。


 但しダンジョンは等級の低いメンバーのランクまでしか入れない。


 俺の場合は特例法で、特定のスキルを使用するには、B級以上の探索者とギルド職員の立ち会いが必要なんだけどね。


 今はある程度ダンジョン内でのスキル使用許可が出ているので、普通に探活しても問題ない。


 ガチャ関連(妖精関連含む)は使えないけど、ランクEダンジョンなら1人でもクリア出来るくらいには強くなった。


 だから、ヨーへーと青春しても大丈夫って事さ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ