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男ってヤツはそんなもの

 高校入学から一週間が経ち、クラスにも馴染んで来た今日この頃。


 何故かパーティーメンバーが出来ません。


 何故だ。

 卒業前はパーティー組もうって誘って来たくせに…あ、その後でメンバーが揃ったから枠が空いてない。


 探索者にならないか、成人してからと思って普通科に来た人が多くて、探索者が少ない。


 ダンジョン科の方はダンジョン科でパーティー組んでる人が多いので、溢れているのはコミュ障ボッチだけ?


 違うんだ、俺だって友達はいるけど、そいつと探活出来ないだけだもん。


「じゃあ、朱鷺が母さんを説得して、俺が探活出来るようにしてくれよ」


 え?やだ。あの能面のような顔で、ヨーへーに女がいないかチェックしてくる日々が繰り返されるなんて。


「何言ってるんだよ。店長さんと付き合い出してから落ち着いたから、そこまで酷くないぞ。ある意味、店長さんの女性関係に興味がシフトされたから、今年のバレンタインも俺そっちのけで、店員からの義理チョコは本当に義理なのかとかを気にしてたぞ」


 それはそれで、如何なものだろう。

 それとヨーへーは店長さんて言ってるんだな。

 照れてないで、お義父さんと呼んでもいいんだよ?


「てか、ヨーへーはサッカー部に入らないのか?」


「ステータス獲得したから公式戦は出られないし、バイトがあるからな。今日もバイトだから、土曜日の午後なら空いてるぞ。母さんも土日は休みだしさ」


 休みの日は家にいてくれるなんて、ヨーへー愛されてるねぇ。

 決して女子を連れ込んでないか心配しているとかではないと思いたい。


「しょうがないから、土曜日の2時頃に行こうかな」


「よろしく」


 コーチャン達もイレギュラー対策が終わってないので、ダンジョンに行けなくて暇だし。


 そんな訳で、ヨーへーのバイト先に付いて来ました。


「なんでだよ」


「いや~ヨーへー君が真面目に働いてるとこを冷やかそうかと」


「僕まで一緒でゴメンね~」


「冷やかしなら帰れ。あ、馬洗はいてくれて構わないから」


「なんでやねん。俺たち親友だろ?」


「親友にパンケーキを奢らせるなよ」


「だってヨーへー君たら、女子が好きそうなオサレなカフェでバイトなんて、またモテようとしてるってオバサンが知ったら…」


「そんなんじゃねえよ。奢るから黙ってろよ。この脅迫犯」


「やだな~脅迫だなんて人聞きが悪い。ほら、人間だから迂闊にポロッと言っちゃう事もあるかもねって言っただけだろ」


 付いて行こうとしたら、高校から遠い場所でバイトしてるから来なくていいなんて言うから、後ろめたい事があるとピンときたね。


「それが脅迫なんだろ」


「やだヨーへー君たら被害妄想よ~。朱鷺君がそんな事を…するかもしれないし、しないかもしれないわよ~」


「どっちやねん」


「するかも~」


「馬洗が言うなら」


「するな」


「やっぱり、朱鷺君とヨーへー君は仲が良いわね~」


 馬洗もウメコはいい加減やめろ。


 女子が多いから入り難いって言ってモノマネしてるけど、女装タレントは女じゃないだろ。


 さっきからチラチラ見られているのは、ヨーへーがイケメンだからだけじゃないぞ。


 この体格と服装が浮いてるから、普通に男子が入るより目立ってて、居たたまれなさに俺のテンションまでおかしくなってるわ。


「それを食べたら帰れよ」


 映えそうなパンケーキがテーブルに置かれる。

 こんなに生クリームは必要ないってくらい盛ってる。


「なんで、ここでバイトしようと思ったんだ?」


「時給がいいから」


「現金だな」


「金が欲しかったからな」


「それで、その格好が出来るお前を尊敬するよ」


「うるへー」


 ヨーへーはウエイターと言うより、執事っぽい服装で金髪のカツラに青いカラコンまで入れている。


 そう、ここはコスプレカフェなのだ。

 執事の他にメイドもいるので、執事喫茶とは呼ばないそう。


 でも主に女性客ばかりで、オタクっぽい人は少ない。


 なのに空いてるメイドでなくイケメン執事が俺たちの相手なんだな。


 あ、初めに店長さんにヨーへーの友達って言ったからか。


「それに、ここでは本名を呼ぶなよ」


「了解、アンドレ…ぷっ」


「アンドレって何となく耽美な響きよね~」


 金髪はオ●カルだろ。


「店長の趣味だから、俺が決めた訳じゃない!」


「アンドレ呼ばれてるぞ」


「アンドレ頑張って~」


「お前らこそ仲が良いな」


「気のせいだろ」


「僕は朱鷺君と仲良くしたいな」


 ウメコじゃなければ吝かではない。


 案の定、生クリームが大量に残ったが、胸焼けするからあれ以上は食べられなかったので仕方ない。


 馬洗が完食してたのは思った通りなのでスルー。


 混みだした店内を後にしてから、探活をするならバイトは辞めるのか聞くのを忘れた事に気付いた。


「それじゃあ、僕は向こうだから」


「ああ。またな」


「またね~」


 馬洗を見たのは、これが最後だった。


 ……なんてモノローグを入れてみたり。


 やっぱり女子ばかりの中でパンケーキを食べるのは、思った以上に精神を削ったわ。


 ふと、ヨーへーが宝くじに拘ってたのを思い出して、駅前の売り場でスクラッチを1枚だけ買ってみた。


 千円だった。

 200円で千円が当たったのだから、運は良いのだろう…なんか微妙だけど。


 変なとこで運を使わない方がよいので、これ以上は止めておく。

 その場で千円を受け取って、電車で帰るか悩む。


 家と逆方向に来ているから、流石に走って帰るのもしんどいので、こっそり路地裏でアイテムボックスから自転車を取り出した。


 クリスマスプレゼントで買って貰った、千々石の魔道自転車だ。


 このメカっぽいデザインが男心を擽る。


 父さんが中学の頃はスーパーカーブームで、自転車もライトやシフトレバーが車に付いているような形が流行ってたらしい。


 ネットで検索すると画像があったが、これは今でも男心を擽ると思った。

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