居候で候う
俺のプランを聞いて、落ち着いたヨーへーとボーリングを楽しんでから家に帰った。
スコアは強運が仕事をしたお陰でアベレージが180を越えた。
因みにヨーへーは溝掃除が上手かったとだけ言っておこう。
無理して16ポンドなんか使うから。
別れる時に顔色が悪かったけど、勝負で負けてボーリング代を払ったせいではないと思う。
やっぱり俺が払うと言ったのに、男の股間に関わると言って払った…多分、沽券の間違いだな。
きっとプランが成功するか心配で、頭が回っていなかっただけだと思うが、たまに天然ボケをかまして来るのがヨーへーのチャームポイントだ。
勝負師の勘が大丈夫と言っているので、俺は心配はしていないが、スキルを教えていないので不安なのも理解出来る。
でも、もっと俺を信頼しろよ。
「良いわよ」
家に帰って母さんに話すと、あっさりとOKを貰えた。
「父さんや爺ちゃんに確認しなくて良いの?」
あまりに簡単に許可が貰えたので、拍子抜けして聞くと、父さんが母さんの言う事に反対する訳ないと言う惚気をされた。
爺ちゃんは、基本的に家の事は母さんに任せているから、反対なんてしないんだって。
やはり我が家の最高権力者は母さんだな。
姉ちゃんが文句を言いそうだが、幼馴染みが困っているのだから反対はしないだろう。
後でスイーツでも渡せば大丈夫。
早速ヨーへーにトークを送る。
OK貰えたぞ(о´∀`о)
マジで!?
母親を説得するのは
お前の仕事だ。
健闘を祈る(。-人-。)
サンキュー!
これで良し。
後はオバサンに許可を貰えるかどうかだな。
ピロン♪とトークの通知が来た。
早いな。
OK出た!
良かったな(^^)
引っ越しの準備とか
色々あるから
夏休み入ってから
引っ越しする
りょ(o´エ`o)b
お前顔文字好きだな
爺ちゃんがやるから
クセになったw
爺さんが使うのかw
気持ちが伝わるって
言ってた(^ω^)
なるほど
それじゃ絵文字は?
ハートとかキラキラは
結構使うぞ(о´∀`о)
いつ使うんだよw
晩御飯がブリ大根て
伝えた時とか?
可愛いなオイ
ちな今日はブリ大根
俺も好き♥️✨
知ってる(*・ω・)
暫くヨーへーとくだらないやり取りをしてたら、御飯が出来たと呼ばれた。
ブリ大根の他にヒラメのお造りがあるのは、入学祝いかな。
俺は刺身の中で一番ヒラメが好きなんだよ。
春キャベツで作ったロールキャベツと唐揚げもあるから、成長期には嬉しい。
ロールキャベツは、迷宮黒豚とミノタウロスの合挽きで、赤身と脂身の相性が抜群だし、唐揚げは昨日からタレに漬け込んでたコカトリスで、柔らかさの中に弾力があって食べごたえがある。
食べ終えて全員がリビングに集合した。
御飯の前に母さんが指示してたので。
「重大発表があります」
勿体ぶった切り出し方に、父さん達が顔を見合せる。
「実は……なんと……」
焦らすね。
「要兵衛君を我が家で預かる事になりました~」
パチパチと拍手をする母さん。
「な、なんで?」
父さん達は先に聞いてたのか、母さんが突飛な事をするのに慣れているのか、平然としているが、やはり姉ちゃんはビックリしている。
「雅美さんが再婚するんですって。それでお相手の地元に引っ越すそうで、要兵衛君はこっちに残りたいと言うから、我が家で預かる事にしました」
うん。俺が説明したまんまだね。
宝くじを買って当たったとしても、オバサンはヨーへーの一人暮らしは認めないと思ったので、うちに居候すれば良いと思ったのだ。
プランて程の事でもなかったが、結果良ければ全て良し。
「雅美さんが再婚!?」
皆驚いている。
解る解る。
あんなに男なんて二度と信じないとか言ってたのにね。
俺もビックリしたさ。
「俺について来てくれなんて、プロポーズも素敵よね」
あれ?そんな話までしたっけ?
店を畳むかもって事は言ったけど…
「雅美さんとも話をして、引っ越すのは夏休み辺りになるから、光も部屋の片付けはしときなさいよ」
オバサンに聞いたのか。
てか、ヨーへーもこっちの家に住むの?
てっきり離れの方かと思った。
離れなら爺ちゃんしか住んでないから部屋が余っているし。
こっちの家も空いてる部屋はあるけど、姉ちゃんが使わない物を入れてるから、これを機会に片付けさせるつもりか。
姉ちゃんがブーブー言ってるが、最終的に折れる事になるのだから、往生際が悪いぞ。
年頃の女の子がいるのに男の子と住むなんて!とか言っているが安心しろ。
ヨーへーのタイプは守ってあげたい大人しい子だから、姉ちゃんとは真逆だよ。
グボァ!
何でいきなりエルボーなんだよ!
何か腹が立ったから?
父さん並みの勘の良さだな。
でも、そう言うとこが守ってあげたいタイプと真逆なんだぞ。
危ないって!
姉ちゃんの拳は凶器なんだから、らめー!