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それぞれのメリット・デメリット

「でも意外と物真似師はダンジョンでも使えるらしいぞ」


「そうなのか?」


 何でも職業を物真似師にしていると、ステータスもモノマネしているものの特性が出るんだとか。


 極端な例だが、熊のモノマネをすれば身体が大きくなって力が上がったり、木登りが上手くなるそうだ。


 木登りは兎も角、そう言う事なら良い能力だな。

 爺ちゃんのモノマネをしたら、とんでもないステータスになったりして。


 ただし、時間制限で数分しか使えないし、クールタイムもある。

 その上、モノマネのクオリティが低いとステータスもそれなりになるし、下手をすれば逆に弱くなるんだとか。


 後は、あまり自分の体格とかけ離れた物にはなれないそうだ。

 ノリノリのメタモルフォーゼに少し似てるな。


 丁度目の前で解けたヤツがいたので、メタモルフォーゼと違って黒い蓑虫にはならないのを確認できた。


 ウメコが相撲取りになったのかと思ったら、馬洗(もうらい)かよ。


 てか、コイツと同じクラスか…


 五十音順だと俺の前に座るから、デカイ身体で黒板が見えないんだよ。


「どう?驚いた~?」


 振り向いてドヤ顔をするウメコ。

 モノマネしてなくても仄かに似てるのに気付く。


「まあまあだな」


「やだ~。相変わらずクールね~」


「ブハッ」


 こらそこ、笑うなよ。


「馬洗も羽高のモノマネ仲間だったのか?」


「やだ違うわよ~。でも皆がウメコに似てるって言うから真似してたら、物真似師が出てたのよ~」


 その口調はウメコのつもりか?


「でも意外よね~」


「何が?」


「八女君ならダンジョン科に行くと思ってたわ~」


「色々考えて普通科にしたんだよ」


「そうなの?僕と一緒だね。僕はこう見えて運動は苦手だし。それに探索者向けのスキルがなかったからね」


 誰が見ても運動はしなさそうだぞ。

 てかウメコは止めたのか?


 モノマネの副作用みたいなもので、スキルが解けても暫く真似した者に成りきってしまうんだとか。


「まあ、半分くらいは探索者向きじゃないスキルになるからな。そう言えばヨーヘーもダンジョン科じゃないんだな」


「今更だな!まあ俺も初期スキルはダンジョン向けじゃなかったし、母親が反対はしないけど高校を卒業するまでは、ダンジョン禁止って言うからな」


「そうか…」


 そう言えば、ヨーヘーの父親は探索者をしてたけど、パーティーメンバーと浮気して離婚したんだっけ。


 あの頃のオバサンの顔を子供心に覚えているが、トラウマになりそうだったぞ。


 ヨーヘーや俺にも、好きな子がいるなら誰にでも優しくしないようにとか、浮気なんかしたら解ってるよねとか、真剣な顔で言ってたよ。


 そう言えばオジサンは小学生だろうが高齢者だろうが年齢に関係なく、女性にやたらと優しかったよな。


 やっぱ優しくされると嬉しいのか、結構モテてたかも。


 だからと言って、パーティーメンバーとして浮気相手を実家に連れて行くのは、全く理解出来ないが。


 どんな神経をしてるのかと思うよな。


 オジサンの方の親も親だ。

 妻子がいるのに、女と2人で実家に行くとか、パーティーメンバーだとしても変だと思わないのか?


 それに浮気相手の女も図々しいよな。


 不倫相手の実家に行くとか、恥と言うものを知らないな。

 不倫に対する罪悪感が欠片でもあれば行けないよ。


 そんな感じなので、オバサンは凄く男女の関係に敏感なため、例え友達だとしてもヨーヘーが家に女子を呼ぶ事はしない。


 ヨーヘーはオジサンに似て、なかなかのイケメンなんだよな。

 こりゃあ心配にもなるだろう。


「俺に惚れたら駄目だぞ?」


 なんだそのウインクは。

 俺はヨーへーが彼女を作った時の、オバサンの反応を憂いていただけだぞ。


「ヨーヘーもオジサンに似て来たな」


「ヨーヘー君はお父さん似なの?きっとイケオジなんだろうね」


「やめろ!最近、母さんの目付きが怖いんだよ」


 息子に旦那の影を見てるのかな。


「なら、そのチャラそうな仕草は止めとけよ」


「そんなに似てるか?」


「クリソツ」


 特にオジサンは、立ち去る時に必ずウインクをしていた癖があったからな。

 こんな所も似てるとか、遺伝なのか一緒に暮らしていた時の刷り込みなのか興味深い課題だ。


「そっか。気を付けるわ」


 その方が良いと思う。

 お互いのトラウマ的にもね。


 因みにヨーヘーの名前は立明寺(りゅうみょうじ)要兵衛(ようへえ)なので、俺の後ろの席になる。


 名前が古臭いのを本人は気にしているが、昭和レトロとか流行っているからか女子には渋いと好評なのも、但しイケメンに限るってやつか。


 ら行は最後列の確率が高いので羨ましいのだが、ヨーヘーに言わせれば逆に目立つ場所だから真ん中で囲まれたいんだってさ。


 確かに人数の増減(転校)で、後ろに1人だけ飛び出してる時とかあるもんな。


 でも、席を立たずにロッカーから荷物を出し入れ出来るから便利だと思う。

 ロッカーも廊下側から五十音順だから、最後の人だけの特典だぞ。


 カーテンも自分の場所だけ明け閉めしてても文句が出ないし、自分の机だけ囲って個室状態にも出来る。


「席に着けー」


 最後列の良い所を考えていると、先生が入って来て慌てて席に着く音がする。


 委員長の号令の後、出席が取られた。


 席順表の横に各種委員が書かれた表があったので、戸惑う事なくスムーズに号令がされた。


 中高一貫校とは言え試験はあったので、1学期は成績順で委員が決められているんだよ。


 40人中10人程が委員なので、4人に1人が何かをやらなきゃならない。


 俺も図書委員になってたが、掃除も図書室になるから他の場所より楽なんだよな。

 なんせ汚れが少ないので。


 図書部員がいるから、貸出等の受付業務もやらなくて良いし、委員の中では当たりの方だ。


 委員長と副委員長に続いてしんどいのは、行事推進委員だな。


 体育祭や文化祭などのイベント毎に駆り出されるし、打ち合わせとかで放課後に残らされるからな。


 イベント好きな陽キャなら、これが切っ掛けでリア充になる可能性もあるとかないとか。

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