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教員免許の是非

 おはようございます。

 本日は晴天なり。

 素晴らしい入学式日和です。


 昨日は久々にスケジュールが空いているからって、爺ちゃんの鍛練が酷かった。


 成長期の子供にしちゃ駄目ってくらいの鍛練も、探索者には当てはまらないとか言われて、ぶっ続けで3時間の打ち合いとか鬼だよ。


 水分補給はさせて貰ったけど、ダンジョンでは闘いながらでも補給出来ないと死ぬぞとか言って、爺ちゃんの攻撃を避けながら飲まないと駄目だったし。


 確かに怪我したからって、モンスターが回復のために休憩なんてさせてはくれないだろうけども、どれだけ過酷な状況を想定しているのさ。


 お陰でアイテムボックスから目当ての物を取り出すのも、見なくてもスムーズに出来るようになったから感謝してるよ。


 爺ちゃんからしたら、超スローモーションの攻撃なんだろうが、時々躱せず貰ったダメージもHPが1しか減らないくらいの絶妙な手加減だったけども!


 ダメージがあるって結構痛いんだよ?


 HPが減るのはある程度のダメージを受けた時だけと言うのは探索者の常識だ。


 ちょっと指を紙で切ったとか、かすり傷くらいではHPは減らない。


 少し瘡蓋が出来るとか、青アザが出来るくらいだと減る。


 それもレベルが高くなればなる程ステータスの恩恵で防御力が上がるため、ダメージ量が大きくないと減らなくなるから、どれくらいで青アザが出来るのかは人による。


 つまり、毎回狙ってHP1を削る攻撃をしている爺ちゃんの非常識具合がわかるだろうか。


 俺のステータスで防御出来るダメージ量を見極めて、動いている俺のHPを1だけ削る攻撃をしてくるんだぞ。


 しかもレベルアップや勝負でステ値が変わっても、毎回同じ事が出来る事が恐ろしいような、大幅にHPを削られない事に安心なような複雑な気持ち。


 ダメージを受けていると防御力が高くなると言われているので、これも鍛練の一環だってさ。


 例え瀕死の重傷でもHPが1でも残っていたら回復出来るから、出来るだけ防御力を上げさせたいらしい。


 過保護の方向性が普通と違うけど、これも親心…祖父心なんだと思っておこう。


 これもHP回復のポーションがあるからこそ言えるんだけどね!


 そうじゃなきゃ、青アザだらけになってるよ…



 ────── ──── ── ─



 朝のルーティンを終えて家を出たのだが、少し早く到着してしまった。


 レベルアップしたからか、いつも通り走っていたつもりがペースが早かったようだ。


 姉ちゃんは別の高校に行ったけど、俺は中高一貫校でそのまま上がったから、あまり新しい学校に来た感覚はない。


 合同行事とかで行き来もしていたため、勝手知ったる場所なので、直ぐに教室に入った。


 外部生もいるから案内をする先輩もいたけど、そこまでマンモス校ではないので迷う事はないだろう。


 1学年6クラスなので高校だけで720人くらいだ。

 最近は1クラスの人数が減って来ている学校もあるようだが、うちの学校は1クラス40人なので。


 ダンジョン少子化と言われるモンスターハザードで人口が減った時代を過ぎて、最近は子供の人数も増加傾向らしいし、この辺りは高ランク探索者(爺ちゃん達)のお陰で、被害は殆どなかったため移住者も多いんだよね。


 田舎の割には大きめの学校ではあるが、ベビーブーム世代からすると少ないと言われるけど。


 昔より高校の数も増えているから分散しているのもあると思う。


 この辺りは私立も少ないけど、隣の市には有名進学校とかダンジョン科を売りにしている高校もあるしね。


 そうそう、ダンジョン科も子供に危険だとかの議論はあったけど、探索者を増やすのが政府の方針だから認可制で作れる様になったんだよ。


 うちの学校も2クラスだけある。


 探索者は人気だからもっとクラスを増やそうと言う話しもあったけど、教師の中で探索者として教えられる人材が少ないため、なかなか増やせないらしい。


 ステータスを獲得しても探索者にならないのは、探索者に向いたスキルがなかったとか、ダンジョンに入ったけどモンスターを殺せなかったとかだろう。


 なので、教員免許を持ってる人が探索者登録をしていても、探活をしてないから教えられる程の知識がないのだ。


 探索者に向いたスキルがある場合は、探索者の方が儲かるので、そもそも教員免許を取る事もしないのが普通だ。


 なので、ダンジョンが現れた初期に教員免許を持ってて探索者になったような人が、引退後に教えている感じかな。


 私立や一部の地方自治体では、教員免許がなくても教員採用試験が受けられるようになったみたいだから、少しずつ増えてはいるようだ。


 でも同じ教えて貰うのなら、ちゃんとした教員免許を持ってる人の方が信頼感があるよな。


 もちろん教員免許があるからと言って、教え方が上手いかは別の問題だけど。


 しかし、何かを判断するにも基準がなくてはどうにもならないからこその資格なので、免許がないのはやはり不安を覚える。


 今はダンジョン科専用の特別教員免許とかもあるので、全くの無免許は少ないとは思うが。


 特別教員免許の受験資格は、二十歳以上で、高校教師になるには大卒でないと普通は駄目なのだが、ダンジョン科だけは高卒以上で、探索者等級がD級以上もしくはE級で探索者活動の実績が3年以上あれば良いとなっている。


 探索者も怪我とかで引退する可能性はあるから、意外と進学率は高いので短大卒や専門学校卒でも良さそうなのだが、人員確保の点から高卒になったみたいな感じだな。


 探索者になったけどE級~D級辺りで限界を感じた人が、再就職先として考えるのにも丁度いいのかも。


 探索者は、モンスターハザードの抑制と言う社会貢献的な側面があるので、一定の収入を越えなければ公務員でも副業として認められているから、休日は探活して小遣い稼ぎも出来るし案外悪くないと思う。

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