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ドはド○○○のド

 3人が顔を見合わせた後、スクールカーストで上位にいそうな、気の強そうな黒髪美少女が代表して説明してくれた。


 高校の同級生だと言う3人は、先月D級に昇格したばかりで、普段は隣町のダンジョンを探索しているそう。


 男1人に女2人とか、ハーレムパーティーかよ。フツメンのクセに生意気な。


 もう1人は、タレ目のゆるふわ茶髪のスタイル抜群の女子だ。


 リア充爆破しろとクラス男子の怨嗟の声が聞こえるようだ。


 3人は学校のグループトークで話題になっている裏技が本当なのかを試してみようと、この森林ダンジョンにやって来たそうだ。


「話題の裏技って何か知ってる?」


「そんな話は聞いた事がないな」


 ダンジョン関連の新しい情報はギルドに報告されるはずなのに、コーチャンが知らないって事は黙っていた人がいた事になる。


 ギルドの報酬より黙っている方が利益になると思う人が、一定数いるのは仕方ないけど、人命にかかわる事があるから新しい発見についての報告は義務になっている。


 その上でギルドが公表するかを決めるからね。


 しかしまあ、何処にでもルールを破っちゃうヤツはいるもんだ。


 3人の態度は、裏技を試す事には罪悪感を感じているように見えないから、ギルドに報告しないといけない事だと思っていないみたいだし。


 それで、裏技は成功したと言う人と失敗したと言う人がいて、グループ内でも炎上しているんだとか。


 その中でも森林フィールドでの成功者が多かったから、ここで試してみようってなったみたい。


「それで、その裏技ってどんな事なのかな?」


 優しく聞いてはいるが、なかなか裏技の内容を言わないからか、コーチャンの圧が強くなっている。


 裏技を試した事については怒られると思っているのか、仲間内の秘密を他人に言うのが嫌なのか、ずっと曖昧な言い方ばかりだからね。


 爺ちゃん達はずっと森の方を見てるし、何が起こったのか解ってそうだけど、早く喋って欲しいんだろう。


「じ、実は…イレギュラーを起こす裏技なんだ」


 な、なんだってー!


 思わず絶句してしまう程の衝撃だった。


 イレギュラーは1つのダンジョンに対して、1年に1回あれば良い方だと言われている。


 しかし、その階層で出るモンスターより強い場合が多いので、出会ったら必ず逃げろとギルドでは警告している。


 ギルドに連絡して、実力のあるパーティーに倒して貰うのが常識だ。


 だが、イレギュラーからドロップするのはレアなお宝な事が多いから、毎年何組かは無茶をするパーティーが犠牲になっている。


 イレギュラーが出るのは深い階層な事が多いため、ある程度そのダンジョンに慣れている事で慢心しやすいのだ。


 誰しも自分だけは大丈夫だと思いがちだ。


 溺れると思っていたら海や川に行かないだろうし、浮き輪やライフジャケットを着けるくらいの用心をするだろう。

 泳げるからこそ大丈夫だと思って、そんな物に頼る事をしないのだ。


 探索者にしても、強いスキルがある自分なら大丈夫なんて思ってしまうのは、ある意味人間の(さが)だとも言える。


 そんなタイプならイレギュラーを人工的に起こすなんて事が出来るとしたら、絶対にやりたくなるだろう。


 しかも1階なら少しくらい強めのモンスターでも、大したことがないなんて思うかもしれない。


 だが、圧倒的なレベル違いのモンスターが出る事があるからこそ、イレギュラーがイレギュラーたる所以なのだ。


 ちょっと強めくらいのモンスターしか出ないなら、ギルドも余裕を持ってレベルを上げておけくらいの注意で済むよね。


「それで、イレギュラーは何のモンスターだったか判るかな?」


「ど」


 はドーナツのド…な訳ないよな。


「ドラゴンでひゅ」


 あ、噛んだ。


「どんなドラゴンだったかわかる?」


 噛んだ事を華麗にスルーしてコーチャンが聞くが、大きさにビックリして直ぐに逃げだしたから、黒っぽかった以外は覚えてないそうだ。


「それじゃあ、僕達がギルドに連絡をして来るから、君達はここで待っててくれるかな。ここにある物は好きに使ってくれて良いから」


 ポーチから食べ物や飲み物をテーブルに出しながら、サラッと言うイケメン。


「そんな、ドラゴンがいるのに外に出るなんて自殺行為よ!」


「そうだぜ。俺らを追いかけてたから、安全地帯のすぐ側にいるかもしれないし、やめておけよ!」


「危ないですよぉ。きっと予定時間に戻らなければギルドの人が探しに来てくれますよぉ」


 ずっと黒髪女子に話を任せていた2人まで反対してきた。


 でもギルドに報告されるのが嫌で止めるのではなく、危険だから行くなと言うのだから、基本的に悪い人達ではないのだろう。


 でもコーチャンがニッコリ笑顔で黙らせた。

 かの伝説表現″激おこプンプン丸″くらいの怒りレベルになっているようだ。


 認識阻害はどこへ行ったのか。

 ボンヤリした存在感も関係ないオーラがハンパないっす。


「それじゃあ巧乃さんを先頭に、オレ、トキ、蓮さん、凛花さんの順で行こうか」


「イヤよ。こんな機会は滅多にないんだから、私も前に行きたいわ。久しぶりに巧乃さんの戦う所も見たいし」


 コーチャンの指示にリンちゃんが自分の希望を言う。


「ここではオレがリーダーだから、指示に従って下さい」


「親父だと一瞬で終わるぞ。トキに経験を積ませるなら、凛花ちゃんの方が向いてるだろ」


「蓮さんがそう言うなら、その方が良いんでしょう。では凛花さん、オレ、トキ、蓮さん、巧乃さんの順にします」


「ええ~巧乃さんの戦いが見たかったのにぃ。まぁいいわ、私も久々に暴れたかったし」


「凛花さん、わかっていると思いますが、トキもいるんですから安全第一ですよ」


「やれやれ過保護じゃな」


「光成キモいぞ」


「キモくない!トキファーストなのは当たり前でしょ。オレが命をかけてトキを守るから安心してね!」


 父さんに禿同。

 守ってくれるのは良いが、セリフがいちいち病んでるんだよ!

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