宝箱GETだぜ!
落ち込むコーチャンは放っておいて、宝箱を調べる。
「おかしいのう。普通は中身を取り出すと消えるんじゃが」
「この宝箱もアイテムってことじゃないか?」
「2つともか?」
そうなんだよ。
一番最初の宝箱は中身を出したら消えたのに、2つ目と3つ目は残っている。
『これも~アイテムだよ~』
『ガチャミはこれが何のアイテムかわかるのか?』
『こっちの大きい方は~ストレージだよ~小さい方は~アイテムを入れておくと綺麗になるよ~』
なんだって!?
詳しく説明してくれ!
大きい方と言っても30cmくらいの宝箱は、100アイテムまで収納出来るストレージだ。
アイテムボックスとストレージの違いは、アイテムボックスは文字通り箱型の空間で、収納出来る容量は空間の大きさに依存する。
ストレージは大きさは関係なく、アイテムの数に制限がある。
とは言っても限界はあるらしい。
俺のストレージと違って1枠に1個しか入らないから、純粋に100個しか入らないが、この宝箱はバスの様な大きさでも100個入るそうだ。
しかも時間停止機能と時間調整機能が付いてて、アイテム毎に設定が出来る。
例えばパンの発酵なんかを時短でやるとかが可能って事だ。
使用者設定も出来るから、勝手に取り出せないし持ち上げられなくなるから、盗まれる心配はない。
更にこの宝箱は、中身を入れたままアイテムボックスやストレージに入る仕様だ。
普通のアイテムボックスは、中身が入っているとアイテムボックスに入れられない事を考えたら、これは凄い機能だよ!
小さい宝箱は、修復の効果があるアクセサリーケースだ。
箱に入る大きさまでのアイテムしか入らないが、入れておくと修復されて新品のようになる。
「これは売れるよ!」
いつの間にか立ち直ってたコーチャンが、爽やかな笑顔でウインクしてくる。
修復機能付き宝箱は見た目も綺麗だから、オークションに出したら100万円はするって。
「でも修復機能って貴重じゃないの?売るのは勿体なくない?」
「鍛冶師や魔道具師に修理工や宝石職人とか、修復スキルは結構持ってる人がいるからね。この箱に入るサイズだと武器や防具は無理だから探索者には需要が低いと思う」
どちらかと言えば、宝石箱としてセレブな人の需要があるんだって。
「そうなんだ」
「お金が必要じゃないなら、持ってても構わないよ。お揃いのイヤーカフに使えるし」
あ、うん、そうですね。
そっとイヤーカフを外して宝箱に入れておく。
ちなみにストレージはオークションで1億円はするってさ。
売らないけどね。
コーチャンがブツブツ言うから、イヤーカフを着けて部屋を出た。
また壁が閉じて、そこに隠し部屋があるのか判らなくなった。
「不思議だね。今なら隠し部屋があるって判るよ」
コーチャンが無造作に掴んだ灯りを捻ると壁が崩れた。
隠しガチャと全然違う開き方だね。
「そう言えば、ここは誰も発見してなかったんだな」
「E級しか来ない上に不人気だから、隅々まで探索してないんだろう。だから残されていたんだ」
ほとんどの隠し部屋で宝箱が見付かるから、ダンジョンが発見されたら隅々まで探すのが当たり前なんだけど、どうやらここは見落とされていたようだ。
最近は新しいダンジョンが発見される事が滅多にないから、隠し部屋も取り尽くされていて若い世代は関係ない通路は探索しない傾向にある。
地図もあるから用事でもない限り、突き当たりに行く事はしないよね。
E級だと初期スキル以外に、隠し部屋を発見するようなスキルを持ってる人なんてほとんどいないだろうからね。
「トラップなし。トキが開けてみて」
「なんで俺?」
ガチャと関係ないなら、父さんが見つけたようなものじゃん。
「そりゃあ強運スキルにあやかる方が、良いアイテムが出るでしょ?」
「コーチャン達の方が運のステ値は高そうだけど」
「う~ん。俺達の経験則なんだけど、ステ値の運力は多分クリティカルの判定に関係するんだと思うんだよね」
通常よりダメージが多くなる攻撃をクリティカルと言ってる。
それは、全く同じ攻撃を同じモンスターにしても発生する時としない時があるため、上手い攻撃をしたとか弱点にヒットしたとかではないそうだ。
爺ちゃんなら寸分の狂いもなく同じ攻撃が出来るから、比較しやすいよね。
それでアイテムの中に運が上がる物があるので、それを着けた時と比較したら、クリティカル率が上がったんだって。
レアドロップ率は誤差の範囲でしか変動せず、着けてない方が出る場合もあったため、運の要素は低いと言う結論になったとか。
俺のスキルみたいに数値で見えないから、アイテムでどれくらい運が上がったのかは判らないけどって。
ただ、幸運スキルを持ってる人と探索をした時は、ドロップや宝箱のレアアイテムの確率が圧倒的に違ったんだって。
「と言う訳でよろしく」