隠しきれないタイミング
「行き止まり?」
「行き止まりじゃな」
「行き止まりだね」
「行き止まりだな」
コーチャンの目が光ってるから、何かわかるかな。
「う~ん。オレの目には何も出ないな」
「待ってたらモンスターが出てレアドロップが出るとか?」
「そう言う感じじゃないな」
珍しく父さんの勘が外れたのかな?
キョロキョロ見回しても、何かあるように思えない。
突き当たりにあるダンジョンオブジェクトの灯りも、他のと変わらないよね。
これが取れるとか?
手で触れてみる。
「おわっ!?」
「トキ!?」
「なんだ?」
「ふむ?」
急にウインドウが開いたから驚いたよ。
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おめでとうございます!
隠しガチャを発見しました。
ガチャランクE
隠しガチャをする【次へ】
ガチャをしない【閉じる】
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「隠しガチャ!?」
「トキ、落ち着いて。説明してくれる?」
斯々然々と説明をした。
「ガチャミに聞いてみよう」
「そうだね」
また寝てたからブンブン振って起こす。
『ガチャミ、隠しガチャが出たんだが、説明してくれ』
ギャーギャー言うのはお約束だから無視する。
『もう~!隠しガチャは~ダンジョンに隠されたガチャだよ~』
そのまんまだな。
もっと詳しく言えよ。
隠し部屋の入口を発見すると出てくるガチャで、部屋の中がガチャによって変わるそうだ。
宝箱が出たり、レアモンスターが出たり、採掘可能な鉱脈や果物のなる木など、色んな種類がある。
Eランクだと大した物は出ないけど、ボーナスみたいなものらしい。
「なら、やる一択だね。蓮さんの勘もある事だし」
「それじゃあ、やるよ!」
【次へ】をポチっとな。
ガチャ画面と同じポップな絵柄の画面が出て来た。
赤・青・黄の3つのガチャが表示されているが、何のガチャかは表示されない。
『これはランダムだから~好きなのを選べば良いよ~』
ここも選択によって中身が変わるのか。
父さんを見ると首を振っているから、俺が選ばないと駄目みたいだ。
よし、赤いガチャにする。
【ガチャる】をポチっとな。
キラキラしたエフェクトが始まり、カプセルが飛び出す演出は同じなんだな。
と思ったら、本当にカプセルが飛び出して来た。
「わっと」
慌てたけど身体能力が上がったからか、落とさずキャッチ出来た。
『隠しガチャは~ここで使わないと消えるから~ストレージには入らないよ~』
先に言えよ!
カプセルの色は緑だからDランクか?
『そうだよ~』
色のランクは他のガチャと同じだったが、よく見たらラメが入っているな。
モンスターの場合に備えて、コーチャン達が俺の周りに配置するのを待ってカプセルを開ける。
ポフンと間抜けな音がして、緑色の光が突き当たりの壁に吸い込まれた。
オブジェクトの灯りが緑色に変わったと思ったら、ウインドウが開いた。
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おめでとうございます!
初めての隠しボーナスを確認しました。
初回特典のIDガチャチケット[S]を
獲得しました。
獲得枚数2枚
世界初特典のALLガチャチケット[S]を
獲得しました。
獲得枚数2枚
GPが+10されました。
ストレージ枠が10増えました。
このままガチャをする【次へ】
後でガチャをする【閉じる】
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新しいガチャが解放されなくて良かった。
これ以上はいっぱいいっぱいだよ。
IDガチャチケットって何?
『インスタントダンジョンだよ~』
何かタイミングが良すぎない?
インスタントダンジョンが出たの昨日だよ?
「この灯りに触れると隠し部屋に行けるみたいだね。さっきまでは何も表示されなかったのに…自分のスキルに自信を失くすよ」
『ガチャの影響だよ~朱鷺がいなかったら~普通の隠し部屋になるよ~後は~ガチャをしないを選んでも~普通の隠し部屋になるよ~』
ガチャミは後出し情報ばかりだな?
「この状態になれば、誰が触っても隠しボーナスになるのかな?」
『そうだよ~早くしないと元に戻っちゃうよ~』
「ならトキが触って」
灯りに触れると、壁が左右に開いた。
部屋の奥にあったのは宝箱だった。
普通なら喜ぶところなのに何故かガッカリするジレンマ。
とんでもない物が出たら、それはそれで困るんだけど、どこかで期待している俺がいたようだ。
先ず父さんが入って安全を確認してから、コーチャン、俺、爺ちゃんの順に入る。
コーチャンが宝箱を見て、トラップがない事を確認すると振り返る。
「誰が開ける?」
「やっぱり朱鷺だろ」
「じゃあ開けようか」
「でも思いもよらない何かがあるかも…」
「光成は心配し過ぎじゃな。そこの妖精が、Eなら大したことないと言っておったじゃろう」
「トキに何かあったらどうするんだよ!」
「悪い感じはないから大丈夫だって。お前どんどんブラコン度が酷くなってるぞ?」
「だってお兄ちゃんらしい事がしたいんだよ!」
サブマスに、いい歳してだってとか言うなって言ってなかった?
「コーチャンは十分お兄ちゃんらしいから、早く開けようよ」
「わかった。何かあれば全力で護るから」
いや、このメンバーが全力を出したら、余波で俺が死ねるから。