忘れる事もあるさ
「さて、ユニークスキルが出る事が確定した所で、スキルグミを食べてみよう」
「ええ?!」
「惜しい!出来たら次は"ほえ"にしてね?」
「そんなのどうでもいいよ!それより、スキルグミ使っても良いの?」
「どうでも良くないよ!オレのやる気が変わるよ!スキルレベルもあるから、早目に覚えてレベル上げした方が良いと判断したんだよ」
どんどんコーチャンのヤンデレ具合が酷くなっていくよ。
でも早目に覚えるのは賛成だ。
しかしパーンてなるスキルは除外しておかないと。
『ガチャミ、どれなら使っても大丈夫なんだ?』
『Bランクまでは~どれでも大丈夫だよ~』
意外に使えるランクが高いんだな。
「それなら魔力回復からにしよう」
『ガチャミ出してくれ』
『スキルグミ~魔力回復~』
腹から出すのが完全にデフォルトになってるな。
コロンと手の平に落とされた青いグミを見つめる。
と、そこで久々のお知らせが来た。
『え~?シエルの時も~お知らせあったよ~?』
何?シエルの登場が衝撃的過ぎて気付いてなかったな。
もふもふしたものが胸の中にいたら、他の物なんて目に入らないよね。
世界初ではないが、初めての従魔で初回特典のMガチャチケット[S]1枚だったようだ。
今回は世界初のスキルグミって、そりゃそうだろ。
気のせいか何かこう、Sランクの物を出そうと言う意志を感じるんだよなぁ。
その割りにモンスターオーブは世界初じゃなかったけど…まさか設定するのを忘れてたとかないよね?
初回特典のSガチャチケット[S]1枚と、世界初特典のALLガチャチケット[S]2枚、GP+10、ストレージ枠+10、ダンジョンガチャが解放された。
おおおう!?
ダンジョンガチャ?
え?ガチャでダンジョン出るの?
『えとね~インスタントダンジョンが出るよ~』
インスタントダンジョンって何?
即席のダンジョンで好きな場所に設置でき、攻略期限を過ぎたら消える。
難易度は普通のダンジョンと同じで、フロア毎にボスが設置されている。
最後までクリアした時は特別な報酬が貰える。
パーティー毎に別れるから、同じダンジョンに入っても同じ空間にはいない。
パーティーの人数が指定されている場合がある。
同じダンジョンに入っても同じ空間にはいないとは、どういう事だ?
『同じダンジョンだけど~別々になってるの~』
だからどういう事かわからん。
「あれじゃないか?オンラインゲームで同じイベントに参加してても、サーバーが違うと仲間に会えないみたいな感じ」
『そんな感じだよ~』
なるほど。
てかコーチャンもオンラインゲームやるんだ?
「内緒だよ」
イケメンウインクで誤魔化された。
「それより、早くスキルグミを食べちゃいな」
そうだった。
衝撃が大き過ぎて目的を忘れる所だった。
『召し上がれ~』
食べてみたが、実はそんなにグミの食感が好きじゃないんだよな…
グニュグニュするのが苦手なんだよ。
ゆっくり食べないと駄目だから、すぐに飲み込みたい衝動と戦う。
青いけど味はオレンジなのか。
充分噛んで食感もなくなってから飲み込んだ。
一瞬身体が熱くなったが、これで覚えたのか?
ステータスを見てみると、ちゃんと覚えてた。
「次は炎剣だよ」
ふと気になって確認する。
『これって連続で食べても問題ないよな?』
『大丈夫だよ~同時に食べたら~パーンてなるから~絶対ダメだけど~』
またパーンかよ!
『おい、他に言い忘れた事はないだろうな?』
『えとね~1日にたくさん食べると~身体に負担があるよ~』
毎回言うのが遅いんだよ!
それめっちゃ重要だろ!!
今の俺はDランク相当のステータスがあるから、10個くらいは問題ないらしい。
余裕をみてDランクまでで3個、Cランクは3個、Bランクは2個なら大丈夫との事だ。
Bランクを3個にするなら、Dランクまでを2個、Cランクを1個にしないと駄目ってさ。
Aランク以上はスキルによっては問題ない物もあるが、今回のスキルは止めておいた方が良いとの事。
自分の実力より上のスキルは覚えても発動しない場合がある。
ステ値に関係ないスキルは大丈夫だが、MPやステ値が足りないアーツは使えないと言う事だ。
例えば上級忍術を覚えても、下級と中級の技しか使えない感じだな。
しかし怖いのは、ステ値が足りないのに発動してしまう方なんだと。
例えば天空斬撃は、スキルを使うと自動的にアクションが起きるから、腕の筋肉が引き千切られようと、剣を振り下ろすまで止まらない。
それを踏まえてコーチャンが熟考した結果が次のスキルになった。
炎剣、クリーン、解錠、毒耐性、温度耐性、隠覆術を食べたよ。
俺の身を守る方を優先したと言われたら、上級忍術が良いなんて言えなかった。
味はミント、バナナ、アップル、チェリー、グレープ、メロンだった。
全部味が違うのは、某魔法使いとホニャララに出てくる百の味みたいで、今後に不安を感じるが。
「今日はここまでだね」
途中でグミの食感に慣れて平気になったのは不幸中の幸い。
何だか疲れたよ。