祈りへの絶望
祈ることは美しい。そう述べた音楽家が居たらしい。
だけど、僕はそう思えない。
安っぽい祈りでそこら中溢れかえっている現代。
安っぽい演出のために数千、数万円を溶かす少年少女がいれば、安っぽい音楽で弾ける玉に生活を溶かす男女もいて。
その上、みんな祈りが通じなければ口汚く罵倒するんだよ?美しい祈りなんてどこにあるというのだ。
みんな自分のことにしか祈れず、その祈りも安っぽい努力の結果が実ることにしか向かず。美しい祈りなんざどこにもありはしない。
小汚い欲望が実を結んだところで大したものにはならないのに、機械が弾く乱数に祈りを向けたところでどうにもならないのに、そんなことにしか祈れない。
真に美しい祈りなぞ、どこにもありはしないのだ。
そう心の底から感じてしまった僕は、祈ることに対して絶望したのだ。