番外編 ハッピー☆ハロウィン 紛れ、踊り、回る、祭り
水「んっ、やっぱり落ち着かない。こうテンションを
キュッと止められる感覚だよ」
影「……いつも騒いでる対価とでも思えば?
少しは私の気持ちも分かるだろうから」
水「うっ、影が冷たい」
菜箸で最後の一枚ピースをぴたりと嵌めた後、影は満足したように頷いた。
「みんな、出来たよ」
豪勢な食事を抱えて、水や葉のいる食卓へと運ぶ足取りは何処か軽い。
「よっ、待ってました!」
今か今かとワクワクした様子の水は先程から料理に目を釘付けにされている。
「わざわざ手伝ってくれてありがとね、影。本来なら、あなた達こそが主役みたいなイベントなのに。八枝は美しい料理は作れるけど、可愛らしいものは苦手だから」
皿の一つ一つを見てみると、ジャック・オー・ランタンやおばけに飾られた一口サイズのチーズ、蜘蛛の巣に見立てたソースがかけられたオムライスに、黒やオレンジの色をしたドリンクまで。食卓には多種多様な料理が並んでいた。
葉はそれらを一通り確認した後、嬉しそうに頬を緩める。
「やっぱり、一度はこの場所で見ないと分からないものは多いかな。……言葉にするのは少し恥ずかしい。けれど、一年に一度のハロウィンなんだから、一緒に楽しもう」
恥ずかしそうに照れた笑顔で、差し向けられた水の手を影は握った。
「ちょっと、そこのー! 早く来ないと、うちらが全部食べちゃうで!」
食卓で待つ水の声に影は思わず苦笑する。
「たくさんあるんだから、水が全部食べられるわけないよ」
「そんなの試してみんと分からんやん!」
魑魅魍魎が跋扈し、怪異が人に紛れるこの日に。宴が好きな彼女らが騒がない訳もないのだ。
暫く書かなかったから、凄く新鮮な気持ち。
……次回はいつになるのやら。
まあ、番外編を書いてるのだから、新鮮なのも当然な気がする。




