狩人を射止めた矢
後編開幕!
ふふふ、作者は今、この時前書きの欄を奪ったのだ!
別にあの茶番を前書きに書くってルールはないからね。
(そもそも、後書きの方にも書いたことあったから)
「——団長————エリス団長」
呼びかけられた声で、ぼーっとしていた意識が覚醒する。目の前には赤紫色の髪を持った少女がこちらを覗いていた。
「……リラ、何か問題があったの?」
親友は私の言葉にため息を付いたようだ。
「周りを確認してみて下さい? 会議は終わったのに暫く動かないから心配しましたよ」
言われた通りに周りを見ると、私たち以外テントにいなかった。頭が回ってきた所で、会議の内容を思い出す。あの演説から数年経ち、今は魔族が主体の解放軍と共に共同戦線を張り、魔王国の民を苦しめる貴族などを少しずつ倒している。
「今回、放浪者は来ると思う?」
ふらりと現れて、兵団を壊滅に追い込む謎の人物……いや、その行動からして謎の魔族だろうか。
「読めたら苦労しませんよ。会議では建設的な案などなく、出ない事を祈るばかりって結論だったじゃないですか。僕からしたら、無駄な時間でしかなかったと思いますけどね」
辛辣に評価しつつも、リラが仲間の安全にいつも注意を払っていることを知っている。言葉の裏の優しさは態度に中々現れないけれど、行動を見れば分かる。無駄と言う会議にも顔を出して、良い策がないか頭を悩ませてくれたことがいつもより力のない目付きから分かるから。
「信頼しているよ、リラ。リラとなら、きっと乗り越えられるよ」
私が感謝の言葉を言うと、気まずそうに目を逸らされた。
「……少しは疑った方が良いと思うけどな。私は魔族で、もしかしたら裏切るかもしれないんだよ?」
「親友を疑うことはあり得ないよ。例え裏切るとしても何か重大な理由があるだろうし、それに本当に裏切る人はそんな事言わない」
リラと出会ったのは一年ほど前、ある村での一幕のこと。重税に苦しむ村で当時狩人をしていたリラは村の住人を人質に取られて、村を苦しめる貴族に手を出せずにいた。まだ私も団長ではなかったが、部下である十三人の部隊を独断で動かし、住人たちの解放と悪徳貴族の捕縛をリラと共に敢行した。勿論、師団長にはこっぴどく叱られたが、主教様はその功績を讃えて私を団長に推薦した。村は既に解放され、自由の身となったのに今もリラは私の横に付いて来てくれた。
村の戦いでは知り合いの為という理由を言っていたが、今もついて来てくれる理由は私と同じはずだから。
「……はぁ、分かっていたことだけど本当にいつか騙されるよ」
「大丈夫、心を許す人には気をつけてるから」
先程より呆れた目で見られたが、その理由が私には分からなかった。
葉「……? 何だろう、この不服感は」
ラル「いつもとー、違う所にいるからじゃないー?」
水「うちは葉とラルが何をいうとるか分からんよ?」
影「全員何処かに疑問符がありそう。
私もつけようか……なくても良いか」