アナタの瞳は何色か?
ラル「法とは。
世界の法則であり、神が世界を作る上で必要な条件
の内の一つです。神が作るのはある一つの星を型に
するため、一定の共通点はありますが、
稀に面白い法則を加える神もいて千差万別
と言えるでしょう」
「魔法、という言葉は知ってるな。基本的に君たちはこれの影響を受けているから私が靄がかかって見える」
ウエイトレスが運ぶ水が冷えている理由が基本的に魔法を使ってるから、とお母さんに聞いたことがある。私の家では常温の水しかないので、冷たい水は私にとって新鮮なものだ。
「本当に? 私も、おか……お姉ちゃんも魔法は使えないよ」
私とお母さんの反応をボロの人が首を振って否定する。
「魔法とは使うものではない。魔法という言葉がややこしくしているのだが……君たちにとって、魔法とは異なる法則に見えるものだ。それは神が描いた世界の法則。根源が異なるから、魔法を使える訳がない。逆に君たちには君たちだけの法がある」
少し首を傾けても、意味を理解しきれない。
「……規模を小さく言うと一人一人職業や、趣味、容姿から服に至るまで違う。職が違えば働く環境は異なり、趣味が異なれば店で気になる物が違うだろう。つまり、皆が違うものを見ている訳だ。それでも彼らは神という大本が同じだから、ある程度は同じように見えている。しかし、君たちの場合は人と全く違う。その違いが冷気や炎を自らの意志で操ることは出来ない原因だ」
「つまり、この世界の法則では火の玉でも、氷の槍でも普通はできるけど、私たちはその法則から外れてるからできないということ?」
お母さんは緊張に疲れたのか、質問したあとにお冷をごくごくと飲んだ。私もボロの人に対しての警戒感は弱まっていたので、質問に頷いたボロの人に私は更に疑問する。
「でも、結局私たちにはその法が適応されないと説明されただけで、貴方がもやもやして見える原因にならなくない?」
「……いや、多分私たちの見方の問題だと思う。私たちと違って、ウエイトレスさんや周りが気にした様子じゃないから、そう考えると私たちだけの共通点が一番怪しい」
私たちの共通点。魔族の根源が何処なのかは知らないが、元々神とは異なる存在と知っている。それがボロの人が言った力と関係があるのかも知れない。
「話を魔法に戻すが、簡単に言うと魔法とは君たちが世界をどう見ているかということだ。例えば私を不定形に捉えた君は恐らく形というものを重視しているのだろう。相手がどんな人か、少し遠くから物事を見て輪郭を捉える……勿論、私が言ったことは推測だから私よりお姉さんに聞いた方が確実だろう」
少し失礼かも知れないけれど、占い師が言うような感じにそうとも言えるくらいのものだった。確かに少し人と距離を置いていることが多い。でも、相手を理解するために観察することは少ない。それなら花を見ている方が楽しいから。
「……確かにリリスは人との付き合い方を予め考えているよね」
何だろう、お母さんに指摘されると少し恥ずかしくてむずむずする。
「そんなことないよ。それより、お母さんも聞いてみたら?」
話の話題を逸らしたが、お母さんは少し笑った。
「私は貴方の方だけ視界が乱れて、貴方の動作もさっきからぎこちなく見える」
暫しボロの人は考える素振りをするが、頭を振った。
「ふむ、全く分からない。その光景を私も見れるのなら分かりそうな気がするが、言葉だけでは伝わらない類いだろう」
何故か残念な気持ちに沈むけど、分からないなら仕方ない。
そんな会話をしているとウエイトレスがこちらの席にやってきた。
「ご注文はお決まりですか? 今日はサービスで全品無料なんですよ。主教も太っ腹なことをしますね」
「あ、そうですよね。では——」
お母さんが申し訳なさそうに席を外そうとした時。
「そうか、ん? 君たちは別の店に行くのか。なら私は何か頼もうか、近頃は何も食べてなくてな」
ボロの人はメニューを見ている中で、私はお母さんを引き留める。
「お姉ちゃん、もうそれなりの時間だからここで食べよう?」
「そうね、リリスがまだここに居たいのならまだ時間を取ろうか」
法と魔法について
法が世界に設定された物理法則とか、自然にある法則。
魔法とはその法則とは別の法則のことを指す。
魔が神とほぼ対照的な位置にいて、実は神と同等の存在だったりする。じゃあ、何で今は神の下にいるのかって?
神と同等の格で、歳を重ねるほど強い傾向があるのだけど、魔族は基本的に神より長生きをすることが滅多にないから。ただ今は懐かしき師匠は大抵の神より年上。
では、何故幼い見た目の邪神に負けたのかと言うと
あの邪神だけなら問題はなかった。実際、すんなりと倒せたからね。でも、邪神たちが少数で攻めたとは言ってない。
長文をつい書いてしまった、反省はあまりしてない。




