餓鬼が足を掴み、修羅に手を引かれゆく者を
------- NO see --------
白一色の城下町がこの時だけは赤色に染め上げられる。群衆が都の三方から中心に向かって行進し、白亜の城を囲む。
「なあ、どんな子だと思う?」
横にいた男がそんな事を聞いてきた。
「……お前は見た目を気にするのか?」
「おいおい、そんな目で見るなよ。でも、気になるだろ?」
「否定はしないが……勇者とは、やはり子どもには荷が重すぎると思うな」
その言葉が可笑しかったのか、隣の男は腹を抱えて笑う。
「おいおい、平和だからこそだよ。きっと主教は聖王の代わりの象徴を飾りたいんだろう。だから、子どもでもって、この国の威光を示したいんだ」
「そうか……済まない、私はもう少しあちらに行くとする」
男を適当に流しながらも、主教の手口に複雑な印象を抱く。口を良く言うと男の意見も一理あるが、悪く言わせてもらうと子どもをダシに政治をするような輩という事だ。生贄、と言う言葉は嫌いだ。最大多数の最大幸福に、私は唾棄する……もう私の身は穢れていたとしても、それだけは譲れない。勿論、その考えも分かり、力のない私が動こうと無駄死にが落ちだ。
私は目的を果たすまで死ねない、死ぬ訳にはいかない。まだ私の信念に折り合いがつくうちは、私は私を偽り続けるのだろう…………破綻の日が来るまで。
「…………彼女が何故この世界に? いや、あの子の仕業か」
見知った顔を見つけるが、この位置ではあまりに遠い。あの子のことも気がかりだ、出来れば聞いておきたい。
「抱えるのは私の仕事ではなかったのだがな。全く、歳はとりたくないものだ。つい感慨に耽ってしまう。……独り言も多くなる」
かつて隣にいた彼らの名残りが、今も私を突き動かす。世界の果てであろうとも、私は彼らを見つけなければならない。それが如何に無惨な現実であろうとも、私はそれを受け入れて初めて次に進める。
「次に進む、か。……私は旅の終わりに何をしたいのだろうか」
メモに走り書きされた物語は既に閉ざされた。しかし、私はみっともなく抗い続ける。それは側から見ると狂気で、私から見ても酷く歪なものだ。
幾ら足跡を辿ろうと、足跡すら見つからぬ旅に何の意味があるのか。既に見た景色は色褪せて、今の色は私には擦り直されたフィルムのように淡く写る。
この困難が私の試練だと言うのなら這いつくばってでも進め続ける自信はある。しかし、これは崖であって終着点は直ぐそこにある。誰かの課した試練でないのなら、私は何処にも行くことのできない。
「惰性で生きている人間に、道などない……か」
例え滑稽であろうとも、私の足が止まらぬことに違いはない。
残念ながら、可愛い女の子は今回出ませんでした。
謝罪会見的な雰囲気でお送りします、作者が後書きは
ご覧のスポンサーでお送り……NO see
という訳で、誰かさんの話でした。誰かって?
そう焦んなさんな、ゆかりちゃんの名前よりは早く出る。
それもどうかと思うこの頃……
勇者=お飾りについて
前提・その隣の男の意見でしかない。
子どもである理由としては.
・次世代としてお披露目 (堅苦しい男より、華やかな女子)
・過去 (聖王の死)の憂いを断ち切ろうという意思表明
それを『私』は生贄と称した……って、ところ。
という訳で、長過ぎる後書きでした。




