第7話
勢いよく蒸気が噴き出す。
(ゴーレムの体にこんな機能あったっけ?)
驚いたのは最初だけ。意外と落ち着いているカラクリ。
(それにしても…不思議と力が漲ってくるような…)
それから十秒ほど蒸気が出続け、ようやく止まる。
辺りに漂っている蒸気を振り払い、カラクリは自身の体に何が起こったのかを瞬時に理解した。
「なるほど、これが種族進化というものか」
見ると体は一回り大きくなり、金属的な光沢も帯びなかなかカッコよくなっている。損傷していた動力核も腕も完全に修復している。
種族進化について、前身アインツェル·ゲンガーの時に読んだ文献にはこう記されていた。
種族進化
――それは弱者のための救済措置。下位種族であればあるほど種族進化する回数が増え、上位種族であればあるほど種族進化する回数は少ない。そして我々人間には種族進化が無い。これは人間という種族がいかに完成しているかを示している。故に我々は紛うことなき最上位種族であり、他種族と比べて格別に優れているという事を示している――
かなり古い文献だったから、差別的な内容もかなり含まれていた。
“解析眼”
名前:カラクリ Lv.10
種族:魔鉄人形(属性変異種)
属性:土
魔法:なし
スキル:「土属性操作Lv.17」「形状変化Lv.1」
加護:『人形神の加護(特級)』
「解析眼Lv.15」「強化学習Lv.17」
「搭載機能Lv.18」「自己修復機能Lv.14」
属性という項目が追加されてる…それになんだよ、『人形神の加護(特級)』って。加護にも強弱があるということなのか?
分からん。
ただ解析眼はグレードアップしているな。他のスキルもレベルが上がって成長しているのかもしれない。
そして…
「スキルが一つ増えている…ッ!!」
種族進化するとこんな激アツな特典が貰えるのか?!
「凄く嬉しいけど、形状変化ねぇ…一体どういうスキルだ?」
“形状変化”
――物質の形状を変化させるスキル
「おお、解析眼の成長が著しいな、スキルの詳細まで解析できるのか…」
すると突然、頭の中に声が流れ始める。
【やっほー、元気してる?】
「この声は…人形神か」
【そうだよー、一回目の種族進化が完了したみたいだからその記念に念話を繋げてあげようかなーって】
「…それで一体何の用だ」
【いや特に用は無いよ、ただ順調に功績ポイントが僕のところに送られて来てるよーって報告だけ】
「…それだけか?」
【うん、あ、でもこれだけ言わせて!レベルアップも良いんだけど、えーと…あの…なんだっけ…あっそうだ!ハーサムくん!ゴブリンの彼を助けたじゃん?あの時に一番功績ポイントが入ってきたから、これからは人助けとかも積極的にやっていってね!そんじゃヨロシク〜】
そう言うと、ブツッと念話が切れる音がした。
「唐突すぎるし会話が一方通行すぎるし…神とはこうも自分勝手なものなのか?まったく…」
とブツブツ言いながら帰路につく。