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絡繰仕掛けのカラクリくん  作者: 勘のいいガキ
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第4話

 モンスターの駆除を初めて一ヶ月が経った。


 そろそろ街中を徘徊するモンスターはあらかた討伐したのではないだろうか。というのも、モンスターとの遭遇率が最近かなり減ってきているのだ。


「…」

 

 ガシャンガシャンと足音だけが響き渡る。


「いないな」

「うん、いないね」

「いないわね」

「イナイ…」


 このところこんな日々の連続。


 少し暴れすぎたせいか、モンスターたちは俺たちを見つけると全速力で逃げていくようになってしまった。


「…!今ナニカ音ガシナカッタカ?」


 カブトが何かを聞き取ったようだ。


「え、ほんとに?」


「アア、確カニ聞キ取ッタ」


 するとカブトは音の出どころに向かって一人で歩いていく。向かっていった先はただの家屋だ。


 ガチャと戸を開ける。


「イタ」


 そこにいたのは一体の人型モンスター。緑褐色の肌に尖った両耳、小柄な体型をした緑亜人(ゴブリン)という種族だ。


「ひぃ…!すいません!許して下さい!オイラが間違ってました!今すぐここを去りますからどうか…」


 謝罪も命乞いも関係ないと言わんばかりに、すぐさま拳を振り上げ殺そうとするカブト。


「カブト待って!」


 すると何故かブリキが待ったをかける。


 こんな大きな声を出せたのかと少し驚く三者。


 一方ゴブリンは完全に死んだと思ったのか、泡を吹いて気絶している。


「そのモンスターには知性がある。それに僕たちと同じ言語を話してた。貴重な情報源になるかもしれない…」


 この四人の中で一番頭のキレるブリキ。温和な性格も相まって、こういう時に頼りになる男だ。


「殺すのはその後でもいいと思わない?」 


 そしてちょっと怖い。



 


 場面は変わり、地下研究室にて…


「ん…あれ?俺は確かあの怪物四人衆に殺されたはず…どうして…」


 見ると縄で柱に括り付けられており、身動きが取れない。


「ここは一体…」


 辺りを見渡しても特にこれといったものは無い。ジメジメとした薄暗いただの研究室だ。


 そこに入ってくるのはブリキとカラクリの二人。


「ひぃッ!!」


「そう怯えるなよハーサムくん、別に取って食おうなんて考えて無いぞ」


「聞きたいことが沢山あるんだ、分かる範囲でいいから答えてくれると嬉しいな」


「なんでオイラの名前を…?それに聞きたいこと…?」


 こうして尋問が始まった。


「じゃあまずは僕から、ハーサムくん、君はどうして一人であんな場所にいたのかな?」


「あの辺りはもともとオイラたちゴブリンの住処だったんだ…けどある時、仲間のある一人がこう言ってきたんだ。見たことも無い人型モンスター四体が協力して他のモンスターを虐殺してるって…!」


「もしかしてそれって僕たちのこと?」


「今思えばアンタらのことだったんだな…でも普通この旧サンストーン帝国領で、四体の強力な人型モンスターって言ったら思い出すのは…あっちの方だよな…」


「旧サンストーン帝国領…この前カラクリが教えてくれた…確か千年前くらいにこの地で栄華を極めた国…だっけ?この認識で合ってる?」


「ああ、オイラもそう教えてもらった」


「それで…何?四体の強力な人型モンスターと言ったら、思い出すのは普通なんなの?」


「ん?アンタら知らないのか?千年前にサンストーン帝国が滅んで以来、この地を支配する四体の化け物のことを。みんなソレと勘違いして森の中に逃げおおせたってわけさ。」


 ブリキがカラクリの方を見る。


 この地が旧サンストーン帝国領という事を知っていたカラクリなら何か知っているのではないか、そう思ったがゆえの行動だ。


 しかし、カラクリは首を横に振る。


 この事に関してはカラクリも知らない。


「まあこの地で生きていくのなら、四天王の事は絶対に知ってなきゃいけねえ事項だな」


「強いのか、その四天王とやらは」


 カラクリが質問する。


「強いなんてもんじゃない、彼らの支配領域に入ったが最期…間違いなく死ぬぜ」


 ハーサムの顔を見れば分かる。


 決して冗談など言っていない…これは心からの忠告だ。


「まあこのサード島にいれば安心だがな、彼らがこの島まで来たことは過去に一度も無いと聞いている」


 再びブリキとカラクリが顔を合わせ、同時に質問する。


「「ここって島だったの?」」

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