第3話
『人形神の加護』によって与えられたスキルは主に四つ。その中に「解析眼」というものがある。
コレが便利すぎるので皆さんにお伝えしたい。
名前:カラクリ Lv.1
種族:土人形(属性進化種)
魔法:なし
スキル:「土属性操作Lv.1」
加護:『人形神の加護』
「解析眼Lv.1」「強化学習Lv.1」
「搭載機能Lv.1」「自己修復機能Lv.1」
自分に使えばこんな感じに表示される。
とりあえずあの3人の事も見てみた。
名前:ビスク Lv.1
種族:氷人形(属性進化種)
魔法:なし
スキル:「氷属性操作Lv.1」
名前:ブリキ Lv.1
種族:木人形(属性進化種)
魔法:なし
スキル:「木属性操作Lv.1」
名前:カブト Lv.1
種族:魔人形(通常種)
魔法:なし
スキル:「耐久Lv.1」
加護:『金剛神の加護』
「金剛化Lv.1」
なんでカブトも加護を持っているのかは俺には分からない。それこそ生まれた時には持っていたそうだ。けど、俺みたいに神に話しかけたりはしてないみたい。
ここら辺は謎ばかりだ。
そして俺たち四人は今何をしているのかというと…
「四足獣か…なら、カブトは前に出て壁役、隙があれば攻撃。相手の注意を引いてくれ。ブリキは指示を出したらいつも通り拘束。ビスクと俺は中距離からヒットアンドアウェイに徹しよう。余裕があったら前に出て攻める。分かったか?」
「ワカッタ」
「おーけー」
「任せなさい!」
この廃墟都市に住み着くモンスターの駆除を行っていた。
“鑑定眼”
名前:―― Lv.4
種族:凶暴野犬(通常種)
魔法:なし
スキル:「強嗅覚Lv.5」
(この程度なら余裕だろう)
作戦通り、カブトはスキル「耐久」と「金剛化」を駆使して完璧な防御を取りつつヘイトを集め、その隙にビスクとブリキと俺は攻撃準備に入る。
凶暴野犬がカブトに向かって何度も噛みつくも歯型すらつかない。最初の威勢は徐々に衰えていき、疲労からか動きも鈍くなってきた。
「ブリキ今だ!」
「はいはーい、“木属性操作”!」
すると凶暴野犬の足元の地中から蔦のような植物が生えてくる。それらは凶暴野犬の足に絡みつき拘束する。
動きの止まった凶暴野犬。
その隙を逃さないビスクとカラクリ。
「“氷属性操作”!」
「“土属性操作”!」
無数の氷と石の槍が襲う。
威力はそこまで強くないが、数を重視した面での攻撃。初撃で確実にダメージを与えるようにしている。
これまでの一連の過程は全て、カラクリのスキル“強化学習”によって導き出されたものだ。
学習速度が上がるという単純なスキルだが、一度学んだことは一生忘れないし、一度の学習で限りなく100パーセントに近い習熟度に達するという特徴を持つ。
ビスクとカラクリの攻撃によって、多数の槍が体に突き刺さった凶暴野犬。
既に満身創痍でフラフラしている。あとはもう何もしなくても直にくたばるだろう。
ガンッ!!
カブトが金剛化した拳でトドメを刺した音だ。
(よ、容赦ないな…てか凄いパワーだ)
すると倒した凶暴野犬から経験値が四人に分配され、いくつかの項目のLvが上昇する。
アインツェル·ゲンガー時代、モンスターと戦った事など無かったものだから、これはかなり新鮮な感覚である。
エネルギーがそのまま体に流れ込んでくるかのような…そんな感覚だ。
「終ワッタゾ、カラクリ」
そう言いながらモンスターをカラクリに手渡す。
「おう、ありがとよ」
するとカラクリの腹部がバカッと開く。
「毎回思うんだけど、なんでアンタだけそんな事できるのよ…」
ゴーレムゆえに表情は無いが、ビスクが気味悪がっている事は一目瞭然だ。
開いた先はどうやら亜空間となっているらしく、黒いモヤモヤで満たされていて中の様子を上手く見る事ができない。
その中に凶暴野犬の死体を放り込む。サイズ的に入るはずが無いのだが、まるで吸い込まれるようにして入っていく。
「何度見ても不気味…」
「極メテ特異ダナ」
数秒も経たずして凶暴野犬の姿は完全に消えてしまう。
「俊敏性、機動力に優れているのか。それにこの鋭い爪。それと目は…視力は良くないけど、視野の広さと動体視力が良いみたい。可聴域も広い。そして何よりこの嗅覚が異常なほどに凄いな…」
これこそが『人形神の加護』の三つ目のスキル“搭載機能”だ。生物以外のあらゆるものを体に取り込み、取り込んだものの特性を得られるというスキル。
相手のスキルを奪うとまではいかないが、さっきのように身体的特徴を自身に投影したり、物体を体内で保存しておいて任意で取り出したりもできる。
貰ったスキルの中で一番優秀かもしれない。これがあれば手荷物の必要が無いのだから!