第18話
モンスターを倒しながら金銀銅山があるという北に向かっていくカラクリとハーサム。ちなみにハーサムはどこに向かっているかはまだ聞かされていない。
「段々とモンスターのレベルが上がってきているな」
「ハァハァ、そうですね…」
「まだいけるか?」
「もちろんです…!」
と言うもののハーサムはかなり疲弊している。それに汚い。
「少し休むか」
「そ、そうですね…ありがとうございます」
そう言って二人はどこか休める場所を探しに辺りを散策する事にした。
そして数分も経たないうちにハーサムの元気な声が響く。
「カラクリさん!あそこに湖がありますよ!」
言われるがままに後を着いていき、姿を現したのは光が水面に反射してキラキラと輝く綺麗な湖であった。
今すぐにでも体を洗い流したいハーサムは湖に向かって走っていく。
しかしカラクリはあの湖から嫌な気配を感じ取る。
「ハーサム危険だ!今すぐそこから離れろッ!」
「え?」
すると湖の中から何かが飛んでくる。
ソレがハーサムの服に引っかかったと気づいた瞬間、ハーサムは宙を舞っていた。
「おわっ!」
ブンブンと振り回している。
「なんだコレ…糸に釣り針?!」
ハーサムは“刳る竜爪”を発動させ、何故か外れない釣り針は放っておいて、釣り糸を切断しようと試みる。
「ふッ!」
先の亀のモンスターの時よりも全力で爪を振るうハーサム。しかし糸は切れるどころかしなりもしない。
「なんだこの糸…!」
ハーサムはそのまま大きな水しぶきを上げて湖に叩きつけられてしまう。
(…)
一連の騒動を黙って見ていたカラクリ。ハーサムの助けに行こうともしない。
(水は駄目なんだ…俺、ハーサムすまんな)
ここに来て衝撃の事実。
(いや耐水性とかはバッチリだけど、どう考えても鉄の塊が泳げる訳ないだろ…)
ここはハーサムの独力で切り抜けてもらうしかない。そう思った時だった。
「あ、そうだ」
何か思いついたカラクリ。
「“形状変化”」
グニャグニャと体の形を変えていく。まるで巨大な魚のようなフォルムへと大変身。ちなみに軽量化のため中は空洞となっている。
「それであとは…ああこれこれ、この魚」
“搭載機能「巨大怪魚」”
本物の魚の目、皮、鱗、ヒレが付いていく。
「ふふふ、我ながら天才だな」
そう言いながら湖に潜るカラクリ。そして驚くべきものを目にする。
「は?!」
湖底にだけは水が存在せず、そこで謎の人物とハーサムが何やら話し合っているのだ。
(どうなってるんだ?魔法…いやスキルによるものか?)
その異様な光景の謎を解き明かそうと辺りを見渡す。するとその時、
「んん?ほほう、これまた珍妙な魚が入ってきたな。どれ釣ってみよう。“羊裘垂釣”!」
ハーサムの隣にいる謎の人物がニヤリと笑いながら、謎の釣竿を召喚しカラクリに向かって釣り針を投げる。
(攻撃か?!)
回避してみせるカラクリ。
「は?!」
しかし釣り針は水中で直角に曲がり、見事口に引っかかる。
「よいしょー!」
「おわっ!」
かなりの力で引っ張られる。
「な、なんじゃこの魚…!重すぎじゃろ!!」
中身が空洞とはいえ鉄でできた巨大魚。そしてゴーレムの持つ馬力。そこらの魚とは訳が違う。
「んぬぬぬぬ…!なんのッ!」
(力が増した…?!いや違う…水の流れが変わったのか?戻される…!)
「フハハハ!悪く思うな!この湖は儂のナワバリ!水流の操作など造作もないことよ!」
一方のハーサムはこの怪魚がカラクリだと気づいていない。出された茶を飲みながらのほほんとしている。
(下から見上げる湖…神秘的だな〜)
そうこうしている内に魚が釣れる。
「グヘッ…」
「ふ〜大物じゃ!まだまだ衰えてはおらんぞ!つーか…なんかこの魚ゴツくね?鉄っぽいというか…」
「うぅ…“搭載機能”解除」
すると鱗やヒレが突然消失し、魚の形をした鉄の塊へと大変身。
ビックリするハーサムと謎の人物。
「“形状変化”」
ここでハーサムは気づく。
「この声はまさか…」
グニャグニャと鉄が形を変えていく。
「カラクリさん!」




