どういうスタートなの
「おーい、誰かいんのか」
そばまで来たっていうのにまだ誰の声も聞いていない。聞こえない。
それにしてもここは薄ピンクの世界だな。桜のいい香りもするし。桜以外何にもない。
『あのー、痛いんですけど。下見て、下下』
やっと声がした。
「どこにいるんだ、色々聞きたい事があるんだけども!」
『あの顔踏んでいますが』
うそでしょ。地面に顔?が埋まっている。
「っす、すみません!」
『ㇷはあ~、わたくしの顔に何てことしてくれのかな』
そもそもそこから水面の上で金魚がパクパクしているような感じにいたら気づかないし、危ないよ。
くぅ~ポっポっポっ。
なぬっ!口からボールが出てきたんですけども~!どういう世界ですか!ここ!
『ごほっごほっ久々だからキツイわ、年取ると。』
その状態で得体の知らない物出さないでくださいよ。
「きもちわるっ」
『しょうがないでしょ、こういう役回りなんだから』
確かにこの男性、ダンディでかっこいいのに地面からボール??を出しやがった。
『この世界には、えっと、んっと、水金地火木土天界の様に世界があります。』
なんかはじまった~wwwww
『・・・いくつか知らんけどもな。今、その中から三つ口の中から出したから好きな物を選んでください。全部一緒の色なんでそう変わりはないかもだし、そうじゃないかもですね』
ちょっとなに言ってんのかわかんない。おじさま。
「きったね」
「急に言われてもな、俺の家族はどこにいったんだよ。」
『そこは心配しなくても大丈夫です』
『それじゃあさよなら』そんだけ~!
なんとかなる精神でこれにしよう。
えっと、5秒間持ち続けろって書いてある。
ぷくーうもあもあー
おおお!ボールが風船みたいに大きくなったぞ。中に入れるからこのままっと。大丈夫かこのままあーなったりしないか?
はいなったー。首だけ入りませんけどー。よく見るやつー、死ぬよー
なんとか風船の中に入り呼吸も出来る様になった。
不思議だな。
おいおい浮いたぞ。何だこれ。バランスがむずい。座ろう。
下を見てみるとあの大きな桜の木が小さくなっていく。どんどん上へ遠ざかっていく。どこへ行くのだろう。鏡の様に映る自分の顔を見たり、光が気持ちよく当たっていくのを感じそのまま俺は寝てしまった。
『ん、起きてる?』え、誰の声。目をすうって開けてみると、目の前にイケメンが。
うそ!こっちの世界に来ちゃった系???
「いや、どうも」風船の中に入りながら会釈をした。なんか新しいフェイスシールドかなw
イケメンくんなら抱いてもいいかも~。急にオネエになるぐらい今の状態に少し戸惑っていた。
いつのまにかパツンと大きなシャボン玉は消えていて地面に座り込んでいた。
「ここはどこだ?」
もっと魔法の世界だと思っていたが、ごくごく普通な町だな。そこまで昔ではないけど、不思議って言われたら不思議って思う感じの。
『君、人間だね。久しぶりすぎるな、改めて見ると』
「え、なにが」
『しょうがないなあ、少し歩きながらここの事教えてあげるよ』なんか新手のナンパかと思いつつも、話を聞く事にした。
彼によると、ここは[ジ]という星で昔あった地球とそう変わらないらしい。
ジの星と呼ばれているのかな。
『3つ、いや二つかな。組織があるからそこに入って生活しているよ』
「そうなんだー」
途中彼の横顔が綺麗すぎて、話の内容がいまいち入ってこない。
その傾向があるのかな。まあ、俺もそこそこイケメンだし。女子からは一向に喋りかけてもらった記憶がないけどね。
『今更忘れていたんだけど、僕、君を案内してくれって言われてたんだ』そうだったらもっと早く言わないと。まいぺーすなのか、イケメンくん。
「ていうか、お名前は?」
『あ、僕は十衣リュウ』
「とおいりゅうか」名前からしてかっこいいなあ
「俺なんか、ヤマダだぞ」
『やまだかあ』
『早速、寮の方に案内するから一緒に行こう』
彼はこう言いつつもずっとダルそうな感じで、その場所まで一緒に行ってくれた。