二話 記憶
まだ二話…。
頑張ります!
はぁ、
また相手から断られちゃった。
なんで何十回もお見合いしてるのに相手が見つからないの?
見るからに高級なソファにだらしなく寝っ転がりながらアルロのほうを向いた。
「ねぇ、アルロ~」
「なんですか?お嬢」
「次のお見合いって、いつ?」
その質問にアルロはため息をつきながら、
「3日後です。」
と答えた。
その時、コンコンと扉をノックする音がした。
「父だ、入って良いか?」
クレアーナはバッと体を起こすとドレスのしわを伸ばしつつ、座りなおした。
「は、はいどうぞ。」
いきなりのことで声が上ずってしまった。
「お、お父様、どうなさったのですか?」
どうしたのかしら、
お父様が私の部屋に来るなんて。
「お前、また見合いをダメにしたそうだな。」
うっ、
「何回目だ?」
なんでそんなに深刻そうな顔をしてるのよ。
「…26回……。」
そう言うと、お父様は大きなため息をついた。
そして大きく息を吸って、意を決したような顔になり、
「お前を学園へ通わせる。いいか、これは決定事項だ。さっきまで悩んでいたんだがお前はやはりもっと人と接したほうがいい。」
そう言ったのだ。その瞬間、目の前が真っ白になり、クレアーナの脳にはある映像が浮かび上がった。
…………
ぼうっと浮かび上がったのは、
ニヤニヤしながら板状の物を見ている女の子だった。
これには少し引いてしまったクレアーナだったが、次の瞬間息をのんだ。
板状の物の中で人がしゃべっている。それにも驚いたが、それよりもその人物がクレアーナの知っている隣国の王子キラクト・サライムだったのだ。
そしてキラクト・サライムは赤く火照った顔で、
「君のことが好きだよ、僕と結婚しよう」
と言っているのだ。すると、ニヤニヤ女が大声で
「やった!クリアー!」
と言って、そのまま眠ってしまった。
なんなのかしらこれは。
そんなことを考えていると、一瞬暗転し、
ニヤニヤ女が制服らしきものを着て、
「行ってきまーす!」
と言って変な庶民の家から出ると2つの車輪のある乗り物に乗った。
面白い乗り物ね。お父様に言ってみましょうか。
そんなことを考えている間にニヤニヤ女は坂を下っている。どんどんスピードが上がっている。
十字路に差し掛かった時、横から大きな鉄の塊に車輪のついたものがニヤニヤ女にぶつかった。
そしてニヤニヤ女は惨い音を出して吹っ飛んだ。
突然のことでクレアーナはヒュッと声が漏れた。その時、頭の中にいろいろな記憶が流れ込んできた。
それでふと、直感が働いた。さっきのは私の前世の最後だと。
そうか、トラックにぶつかって死んだんだ。その記憶と自分の前世と思われるものは当たり前のように、
前からそこにあったかのように、ストンと胸に落ち着いた。
そして分かってしまった。今の私は、あのゲーム、『精霊姫の運命の出会い』のヒロインだ。
読んでくださりありがとうございます。
何か変なところがあったら教えて頂けると幸いです。