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妻と刀




 最近聴いてなかった、のんびりとしながらも空気がピンと張るような声が届いた。

 その声に、歩は分かりやすく顔を歪ませる。

 予想より早い動きに苦虫潰したのと、同時に、気配を察知出来ないところから、気配遮断(大西静香)の同行を理解したからだ。

 つまり、こちらは相手の戦力がどの程度の規模か分からないって事になる。

 後、ここまで早い動きって事は、予想屋(遠見晴臣)も1枚噛んでいるはずだ。

 ま、普通に考えれば、現状あちらさんが格段に優位だなこりゃ。



 「ここにいたのね。歩」



 勝手知ったる息子の家。

 俺の嫁アカリは、昔とは違って何とも似合わない真面目な空気を纏いながら、息子のいる部屋へとやってくる。

 ……それはそうと、時間の経過とは残酷だな。

 詳細は語らないどくが……



 「それと、お久しぶり」



 ふん、何かしこまってんだか。

 何がお久しぶりだよ。

 お前絶対今もそんなお上品な奴じゃねぇだろうに。

 いつからお前はそんな無駄に礼儀正しくなったんだ?



 「え? 母さん、知ってるの? コレが父さんだって」



 おい、息子。

 仮にも父親に向かってコレ言うな。

 せめて、パパと呼びなさい。



 「そりゃ知ってるわよ。というか、あなたこそ知ってたのね。という事は、コレが父親に変わったのを見たのかしら?」


 「あ、うん。昔、モンスターにやられそうだったとこを、ね」



 何だよ、助けたのは分かってたのか。

 だったらもう少し敬意を払えよ。

 命の恩人よ俺。

 てか、アカリまでコレ呼ばわりとか酷くねぇ?

 お前、俺の連れ合いだよね?

 ちゃんと結婚もしたよね?

 それに、俺の刀化にだって半分お前が関わってただろうがよ。



 「ま、そんな事は良いのよ。大事な時にはてんで役立たずなの昔からなんだから」



 だから酷くね?

 俺、一応足立区の英雄よ?

 何度も区民滅亡の危機救ってるよ?

 子供のピンチにだってちゃんと駆けつけたよ?

 スルーされるの分かってるけど、ちょっとは大事にしてたもれ。



 「それで、太陽はこちらで預かるわよ? 勿論あのオーガもね」


 「母さんそれは」


 「反論は許しません。これ以外手はないの。言っておくけど、外にはそれなりの戦力を準備してるわ。貝塚さんもいる。これは足立区民の総意よ」


 「だけど母さん、太陽は!」


 「今は、足立警察魔法課長として来ています。モンスターに人がテイムされた、という事実は認められないの。分かるわね?」



 おやおや、これは流石耳が早い。

 オーガ娘の事だけでなく、太陽がテイムされてる事まで把握してるか。

 こりゃ予想屋(遠見晴臣)だけじゃなく、記憶見(真壁拓人)も動いてるっぽいな?

 となると、すでに現場検証も終えてる?

 んー、となると動きが早すぎるな。

 つまり、俺の知らない何かがあるって事か。

 時間の経過とは恐ろしいねぇ。



 「いい? 歩。ワタシ達は、これ以上モンスターからテイムされるなんて犠牲者を出したくないの。そこのバカが何を考えてるか知らないけど、今更ただの刀なんかに邪魔はさせません」



 おっと。

 何かを企んでるってとこまでは分かってるのか。

 なら仕方ない。

 刀扱いは今更として、だったらもう話し合う必要もないな。

 ってことで実力行使。

 退け!

 邪魔だ!



 「父さん!?」


 「渉!?」



 2人して、俺の発する魔力の波動に慄く。

 強者故の反応で、一瞬にしてたかが刀一本から距離を取っていた。

 ふふん。

 これでも俺ってば実は強いんだぜ?

 まぁ、自分で出来るのなんて精々威圧くらいだけどよ……



 「きゅ、急に何を考えてますかあなたは!? 反抗は無意味ですよ? 自分で動けない刀一振りで何が出来ると思っているんですか!?」



 さーて、それはどうかな。

 確かに、歩単独じゃ母には逆らえない。

 気配を探れないから敵の質も数も未知数。

 こんな状態で歯向かっても返り討ちが関の山さ。

 

 だけど、ウチでもっとも頼れる1人を意識から外し過ぎだ。

 この家には、例えお上が相手でも十全に戦える奴がいる。

 分かんだろ?

 とびっきりのモンスターにして、我が家の真の当主。

 と考えたのも束の間、ドカンという音と共に一体の般若……じゃなくて人型モンスター様が、何故か壁を打ち破って現れてくれた。



 「義父様!?」



 戦闘力に申し分のない義娘は、場の確認もさて置いて、すぐさま俺を拾い上げてくれる。

 よしよし。

 ちゃんと刀から発されたのが俺の魔力だと分かってくれたみたいだな。

 流石はゴブリンヒューマン。

 人より魔力感知に優れている。

 無事に俺の魔力と認識してくれたらしい。

 多少賭けだったが、無理をして魔力を放って良かった。



 「あれ? 義父様? でもこれはナマクラ? え? なんで?」

 


 あー、うん。

 それが普通の反応だよね。

 まさか、物から知ってる魔力が発されてるなんて思わないよね。

 でもここは、直感でも何でも良いからこの場から逃げてくれ!

 そのためにお前を呼んだのだ!

 さぁ、共に逃げるぞよ!



 「里奈! それを持って太陽と逃げろ!」


 「里奈ちゃん! それをボクに渡して! お願い!」



 ええい、外野うるさい。

 2人して逆のこと言ったら、変に迷って時間食うじゃないか。

 単純に、目の前に自分の子供を奪いにきた諸悪の根源がいるのだ。

 だったら、今は逃げるが勝ちなのを分かってくれ。

 こういう時、本当発語出来ないのがもどかしい。

 後、アカリさんや。

 年甲斐もなく素のボクっ子が漏れとるぞ。



 「お断りします!」


 「「はぁ!? なんで!?」」



 おお、流石は我が義娘。

 2人からのプッシュをさらりと拒否する嫁カッコいい……って、あれ?

 何か俺を握りしめる力強くね?

 何で戦闘体制?



 「いや、本当丁度良かった! アイツらもうウザくって!」



 あれ? おかしいな。

 ちょっと予定と違うぞ?

 とかいう思いも虚しく、義娘は明後日の方を向いて俺を滅茶苦茶に振り回し始めた。

 しかも、魔力まで込めた剣線は斬撃そのものを飛ばしていて、夫の書斎を半壊させてしまう。


 あー、うん。

 これガチの戦闘中なのね。

 壁打ち抜いてきたのは、そうしないと俺のとこに来れなかったからって事なのね。

 つまり、俺の魔力による呼び掛けなんて二の次だったって事ですかねー。

 …………くそ。

 とんでもない魔力の無駄遣いだったぞドチクショー!



 「おいおいおいおい! 止めろ里奈! お前一体誰と戦ってる!?」


 「3人! 的部綾人! 高千穂透! 渡部淳也!」



 それだけ言い放って、再び俺を持って戦闘を再開する義娘。

 止めてくる夫など眼中無し。

 それだけ戦闘に熱中しているらしい。

 いや、余裕がないと言うのが正しいか。


 それも当然。

 今挙げられた3人は、言わば俺の弟子。

 バインドの的部、フィフスの高千穂、断空の渡部に違いない。

 奴ら初年度卒業生は一人一人では、ほどほど優秀程度だが、コンビネーション攻撃に関しては高水準での連携が可能。


 今やロートル甚だしいが、初年度卒業生の全10人中3人まで揃えてきたとなれば、最上位モンスターを圧倒できる程の強さになる。

 今や世の爺達の星だな。

 そんなのを向こうにしたら、確かに義娘一人だけでは分が悪いか。


 どうせその3人もアカリが一緒に連れてきた刺客なのだろう。

 何故かすぐ近くの戦闘に気付かなかったが、戦力を削ごうと先手を打って来ていたようだ。



 「動きを止める!」



 となれば、即参戦するのがマイサン。

 嫁が危ういのに、それを助けない男じゃない。

 すぐ魔力を広げて荷重空間を展開させ、義娘を援護する。


 ただ……そのおかげ様で、俺の建てたマイホームが崩壊しちゃったけど。

 これ建てるのに、俺結構頑張ったんだけどなぁ……

 もう随分古い家だけど、あっさりぶち壊されると何とも言えない虚無感を覚える。



 「愛してるよ歩!」


 「俺もだ里奈!」



 かたや息子夫婦はと言えば、俺など無視してイチャつきながら、敵3人のみ動きを鈍くさせ、その荷重空間の外側から刀による遠当て斬撃を幾重にも放っている。

 『ナマクラ』の性能は、モンスターを切った数だけ切れ味が増すというもの。

 今やどんな弱い奴が振るっても大抵の物を断ち切れる程のモンスターの血を吸ってきている。

 そして、当然ながら使用者の太刀筋によっても、その威力は変動する。


 義娘は普段刀剣の類は使わないが、扱えないわけじゃない。

 ただ、業というよりは力任せなのが嫁流であり、とにかく思い切り剣を振り回して、敵を薙ぎ倒すのを好んだ。

 全くもって彼女らしい。


 しかし、その使い方は刀使いとしてはともかく、『ナマクラ』の扱い方としては存外正しい。

 渾身の一線に賭けるのではなく、数を放つ事こそ基本的な『ナマクラ』の使い方だ。

 ま、場合によりけりだけど。



 「はっはっは〜〜! 死ぃね死ね死ね死ね死ねぇ〜い!」


 

 義娘さん義娘さん、それじゃ本当にみんな死んじゃうから。

 一応、そいつら俺の弟子だしさ。

 それに、そろそろ還暦も見えてる頃合いだから、色々まともに動けなくなってきてるのよ。

 ち〜っとばかし手を抜いては貰えんかね。



 「ヒャッハー!!」



 ……うん。

 本当この人根っからの鏡家だわ。

 バトルハッピーの化身だわ。

 本当全く手を抜く気配がない。

 でも、今は敵対してるけど、基本的にはそいつら味方なのよ?



 「3人! 一旦退きなさい!」

 


 そこで、やむを得ず撤退指示を出すアカリ。

 3人共、まだ斬撃を回避出来ていたが、歩の荷重空間もあって攻勢に出られなかったし、あのままじゃジリ貧だったはずだ。

 それに、アカリとしても、同じ初年度卒業生を死なすのは心苦しかったのだろう。

 3人は、アカリに従い大人しく戦闘から離脱していく。



 「うっしゃ! 勝ち! でもって……次は、お義母様とですか?」



 アカリに向き直る義娘。

 その戦意は揚々。

 いつでも始められるつもりらしい。

 むしろ戦いたいとさえ思ってるっぽい。

 流石バトルハッピー。

 義母とさえ戦える神経にもはや感嘆する。

 ついでに息子の方も、どうやら母親を敵に回す心構えが出来た風。

 さっきまで苦悩してたのに、嫁の力は偉大だの。



 「はぁ……まったくもう。これだから困るのです」



 対して、戦うのには後ろ向きなアカリ。

 そりゃ望んで息子夫婦と正面切って戦いたいとは思うまい。

 パッと見の状況的には、あの3人と一緒に退くのが賢明。


 それに、アカリ自身1対1での戦闘は苦手なのだ。

 魔法を使うのなら全くの別だが、まさか息子夫婦や孫を相手に使うとは思えない。

 コイツの魔法はデンジャラス過ぎるしな。

 てか俺自身、コイツの魔法に巻き込まれて何度死にかけた事か……

 ここらの建物が残骸化してるのだって、一応はモンスターのせいでもあるけど、実は大半アカリの魔法のせいだったりするし。

 まぁ、これは今は関係ないか。



 「母さん、頼むから退いて! 太陽の事は俺たちが何とかするから!」



 歩は、体内に魔力溜め込んで、すぐにでも攻撃を仕掛けられるようにしつつ母親を脅す。

 嫁の味方をするのは確定しているしても、やはり母親とは戦いたくないのが本音か。

 当の嫁は嫁で、剣先を向けながら今か今かと戦いを待ち望んでいるみたいだが。

 いずれにしても2人とも、2対1であれば、自分達が白兵戦で負ける事は無いと踏んでいるらしい。



 「ふん、まだまだだね」



 なのに、アカリはどっかのテニス漫画の主人公みたくシニカルに呟いて、軽く右手だけを上げて見せる。



 「「!?」」



 それは、紛れもなく合図だった。

 だが、時すでに遅し。

 驚く2人の周囲には、いつから居たのか2人からほんの10メートルにも満たない位置に、30人以上の魔法師が取り囲むように配置されていた。



 「これは気配遮断?……そうか大西静香。いや、でもどうして?」



 見れば、30人の中に、歩の言う通り、物凄く派手な何かのコスプレをしてる大西静香の姿が確認出来た。

 どうやら彼女の魔法によって、普通なら見える位置にいた集団に気づく事が出来なくなっていたらしい。


 が、おかしい。


 歩も疑問に思っているようだが、ついさっき俺自身も気配遮断がいる事を類推していた筈なのに、何故か取り囲まれてしまった今の今まで気配遮断の魔法についてすっかり忘れてしまっていた。

 頭の片隅にすら無くなっていた。


 俺の知る大西の魔法は、指定した物体の存在を五感で認識出来なくなると言うものだと、今は思い出せる。

 なのに、コイツらが姿を見せるまでの間、俺も息子夫婦も気配遮断という魔法は疎か、大西静香の存在すら意識から消えていた気がした。


 これは、彼女の魔法自体のスキルアップか?

 それとも、記憶操作系の魔法師がコイツらの中にいるのだろうか。

 どうあれ他人の記憶をリアルタイムで自在に操れる魔法だとすれば、異常なレベルで厄介だ。



 「面白いでしょ? ワタシも初めてやられた時はビックリしたもの。でも、それは今は関係ないわね。ほら、勝敗は決しました。さっさと降参なさい」



 アカリは、右手を掲げたまま待機している。

 あの手を振り下ろすと同時に、30人の魔法師による一斉攻撃が来るという事だ。

 メンツとしては。先の3人に加え、一期生から最近までの魔法教室の卒業生と予想する。

 それぞれ仕事があるだろうに、よくこんな内輪揉めに参加する暇があったものだ。

 それだけ、アカリが慕われてるって事なのかね。



 「歩、勝てる?」


 「キツイな。時間がかかる」


 「ふふっ、勝てないと言わないのが歩の良いとこだ」



 どんな時でもイチャつくのを忘れないのはいいけども、現実的には勝ち切れないぞ?

 見たとこ攻撃8人、防御15人、援護7人。

 しかも、魔法のタイプも真っ向勝負ではない搦手を得意とする奴が多い。

 恐らく、歩対策としての人員なのだろう。

 それにどうせ、この後方にも魔法師が何十人も配置されてるはず。

 とても切り抜けられそうにない。


 ……のだが残念。

 この手法には甘さしかない。

 アカリは、結局のところ説得する道を選んでいる。

 手練手管使い切れば、もっとゴリ押し出来る筈なのにそれをしない。

 狙ってかは知らんが、徹底さに欠けている。

 だったら、今どうするかなんて考えるまでもないだろう?

 なぁ、歩。

 今、俺たちが優先すべきは何だ?

 どうすれば、子供達を守る事が出来る?

 さぁ、気付け!



 「……あ、父さん。よし!」


 「んな!? こんの馬鹿息子! 総員はなうぐううう!?」



 歩は、俺の考えとか思いとかを察して即座に行動を起こし、ノータイムで最大出力の荷重空間を発動していた。

 その不穏さに気付いたアカリだったが、せっかく振り上げた右手は弧を描く事なく、体全体が地面にへばりついてしまっていた。

 それは、アカリだけでなく周囲30人についても同じ事。

 俺の弟子でもあるし、それなりに鍛えられた集団だとは思うが、ざっと100倍の重力に耐えられる程のサイヤ人は、この中にはいなかったようだ。

 


 「ふん! だらしないねぇ!」



 そんな中で、立っていられたのは1人だけ。

 使用者である歩ですら立てないでいるのに、ウチの嫁だけは、仁王立ちを維持できていた。

 うん、すげぇな戦闘民族。

 こんな重力の中じゃ人間は動けないからね?


 ……というか、アカリとか他の連中は生きてるだろうか。

 アラシクに、この重さは苛烈過ぎる。

 下手すりゃそのまま地獄行きだ。

 とりあえず今のとこは誰にもお迎えは来てなさげではあるけど……

 


 「り、里奈!」


 「分かってる!」



 まさに以心伝心。

 周りの惨状なんて気にもせず、義娘は手にしていた俺こと『ナマクラ』を大きく振りかぶって……



 「行けええええ! たいよおおおおおお!」

 

 

 荷重空間の中でありながらも、そのモンスターの腕力でもって思い切り投げ飛ばしてくれた!

 飛ぶ俺!

 あっという間に遠ざかる仲間たち!

 くるくる回る視界には、色んなものが切り刻まれていくのがよく見え……え? 切り刻まれて? ってうわっ!?

 あの馬鹿嫁、ご丁寧にも魔力込めながら投やがってる!

 そりゃ確かに重力を突きつけるには必要だったかもしれんが、おかげで、斬撃が放たれまくって地面やら建物やらが真っ二つになっとるがな!

 第一こんなんじゃ誰も受け取れねぇよ!?

 飛び続けるだけ飛び続けて、あちこちボロボロになってくよ!?


 そ、それは元々だからいいとしても、でも問題はこのまま魔力が残ったまま地面に落ちた場合!

 だって、込められた魔力が消えるまで、延々地面を切りまくって地下の奥深くにハマって抜けなくなるかもしれないんだよ!

 俺鞘なしなんだよ!

 切れすぎちゃうんだよ!

 置くときは丁寧に平置きしなきゃ、簡単にするっと地面に刺さるんだよ!


 てか、前にも一度あったんだよ!

 その時は、魔力は込められてなかったから、地面に刃部分が刺さっただけで、柄でギリギリぶら下がってるうちに助けられたけど、今回は無駄に魔力残ってるし、切った跡が深くて広くなるんだよ!

 要は奥深くまで落ちるかもしれないんだよ!

 俺が先に地獄行きになっちまうよ!


 だ、大丈夫だよな?

 そんな無様な展開ないよな?

 け、けど本当にそうなる前に誰か受け止めてくれええええ!

 へるぷみいぷりいずううう!!


 とか、昔のトラウマが過ぎって、ちっとだけネガティブ思考に陥っていると、目端に小柄な影が映り込む。

 その影は、俺の直進方向で止まって、このおれを止めようと立ち塞がっていた。

 いや、だからそれ止めようよ!

 有難いけど、個人的に怖いんだよそういうの!

 心臓に悪いの!

 今、心臓ないけどさぁ!


 程なく、ガーン! と金属音が響く。

 俺を受け止めたのは、事の発端にしてど真ん中にいるオーガなモンスターっ子だった。




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