勇者、魔王の弟子になる。
強くなる。ミカエラはそう誓った後、とりあえず森を出て【アニマ】と呼ばれる街にある普通の二階建ての家にいた。
「…さて、突然だが。俺はある奴等を殺したいと思っている。だが、そいつの力は絶大で俺一人では倒せない。そこで、俺が力を与えてやるから、俺にその力を貸して欲しいと考えている。勿論断わっても構わない。別に断ったからって、何かおこるわけではない。…それでも力を貸してくれるか?」
ソファーに座るシン。その反対で真剣な表情のまま椅子に座っているミカエラの姿があった。ちなみに、クラウスは、部屋の隅で静かに立っている。
「私は、もう大切な人を死なせない。もし、私がシン君に力を貸さないないと、シン君が困るなら助けたいと思う。それに、シン君が、倒すのはきっと悪なんだろうって思うんだ。なんとなくだけどね。そして、きっとその悪は私の大切な人を危険に晒す。ほんとになんとなくだけどそう思う。だから、戦うよ!」
シンとミカエラは、年齢が近しいことから、街に来るまでにだんだん距離が近くなっていた。
ミカエラの返事を聞いて、思わず笑みがこぼれる。
「…それが神だと言ってもか?」
一瞬惚けるが、力強く頷く。
「そっか。…訓練は、明日の早朝にやる。それまで、体力を回復させとけ。……じゃあ…また、明日な」
恥ずかしそうに、頬をかきながらシンは二階にある自分の部屋に戻っていった。その後ろ姿をみて、クラウスは、そっと微笑んだ。
―翌日―
透明のガラスに光があたり、そのまま部屋へ入っていく。光は、ベットの上で寝てるシンにあたる。
シンは、眩しい光のせいで目を開ける。
窓をあけて一枚のシャッツと一枚の黒いコートを着る。
部屋を出るとそのままとなりの部屋へと歩く。
扉の前に立つと一回だけノックをする。
返事はない。
シンは、扉を開けた。
「おい、起きろ。」
扉をあけ、ベットの上で寝てる赤髪の少女に声を掛ける。
だが、起きない。
シンは、少女の前へと歩み、肩を掴もうとする。
「…ん、…あ…待って…。」
直後、少女は、シンの腕を両手で掴み胸の谷間へ引き寄せる。
「…!……おい、バカ女。いい加減起きねぇと、テメェの頭吹き飛ばすぞ!」
シンは、余ってた片方の腕で、少女の頭を鷲掴みする。
「…!!」
少女は、見事な殺意により勢いよく飛び起きる。
少女は、シンを見る。硬直5秒。
少女は、自分の谷間に挟まっているシンの腕をみる。硬直5秒。
「…………………………へ?……なんでシン君が、私の部屋にいるの?………!シン君の変態っ!」
10秒掛けて盛大な誤解を完成させた。
「なっ!、ふざけぇんなや!おまっブッ!枕を投げんな!おいコラまて!違うから誤解だから!待ってくれ!」
少女 ミカエラは、瞳から光輝く雫を空中に残し、人生で最高速度の速さで部屋を出ていった。
のこされた男は、神を殺すことより難しい乙女の対応をするのであった。