勇者、森に入る。
女性は、テーブルとイスが並べられている部屋で、料理の盛り付けをしていた。
テーブルには、野菜とシチューにパンが付いている一般的な料理が並べられている。
盛り付けが終わると、部屋の片隅にある階段を登っていく。12段の階段を登り終わった彼女は、数歩進んで目の前の「ミカエラの部屋」と書かれた扉の前で立ち止まった。
「ミカエラ様、入りますよ?」
彼女は、3秒ほど待ってから、二回ノックをして扉を開けた。
ベットの上には、幸せそうに眠っている赤髪の少女の姿があった。
彼女は、思わずため息がもれる。
「ミカエラ様。起きてください。今日は、森にいくのですよ。」
彼女は、体を揺らしながら起こそうとする。
幸せそうに眠っている少女はというと。
「ん…まだ、食べられ…る…」
寝ぼけていた。
彼女は、頬をつねたり、デコピンしたりと、苦戦しながらも、彼女の、睡魔を撃退し、着替をさせる。
「じゃ、行ってくるね!」
共に、ご飯を食べ、身支度を整えたミカエラは、そう告げて家を飛び出していった。
回復ポーションを詰めたバックを背負い、左手には、短い剣をもち、西にある森へと、走っていった。
森の入り口につき、まわりをウロウロとすると、不意に背後から、声を掛けられた。
「よぉ、元気にしてたか?お嬢ちゃん。」
背後を振り返ると、そこには、自分が憧れる男ガムイがいた。思わず笑みがこぼれる。
「ガムイさん!…何回も言うけど私の名前はお嬢ちゃんじゃなくてミカエラ!お嬢ちゃんって呼ばないでよ!」
腕を組みほっぺたをぷくっとふくらませ、怒りをあらわにしている。だが、実は会えて、嬉しかったりもする。
「別にこまけーことはいいじゃねぇーか。」
ガハハハと笑いながら、背中を叩く。
ミカエラは、勇者であることから、村の人から対等には、接してもらえてなかった。
しかし、ガムイという男だけは、ミカエラと対等に接していたのだ。ミカエラは、対等に接してくれるガムイを親のように慕っていたのである。
「さて、そろそろ行くか…」
「うん!」
ガムイが、歩き出しその後ろをミカエラが付いていく。その様は、本当に親子のようだった。