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そして、保元の乱が始まる。  作者: 仲島けい
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後白河帝、誕生

 近衛帝が崩御した。

 すぐに後継の天皇を決める会議が朝廷で開かれた。

「やはり重仁しげひと殿下が有力でおじゃるが」

 出席している貴族の誰かが言った。

 重仁親王は崇徳上皇の長男だ。上皇も当然、次の天皇が重仁親王だと思っている。

 しかしこの会議に出席していたのは上皇と対立する鳥羽法皇と美福門院(鳥羽法皇の妻)サイドの貴族達だった。もしもセオリー通りに重仁親王が天皇になれば、父親である上皇は院政を敷くことになる。そうなれば勢力図が逆転してしまい、鳥羽法皇サイドの貴族たちは上皇から報復人事を受けることになるだろう。

 更に失脚した頼長が、崇徳上皇に接近しつつあると、貴族達は聞いている。

「陛下(近衛帝)は、頼長公の呪詛によってお亡くなりになったとか・・・・・・」

「そうじゃ! 絶対にそうでおじゃる!」

「となると、次の天皇にふさわしいお方は・・・・・・」


 あらゆる権力者の利害が天秤にかけられて、次の天皇は重仁親王ではなく崇徳上皇の弟の雅仁まさひと親王に決定した。

 雅仁親王には既に男子がいる。この男子を天皇にすれば、叔父である崇徳上皇は院政を敷くことが出来ない。権力者たちの思惑通り、この男子は二条天皇として後に即位することになる。


 こうして後白河帝が誕生した。


「また、弟か」と上皇は虚空に呟く。

 近衛天皇は崇徳上皇の「皇太弟」として即位した。今度は実の弟の雅仁親王が即位。

「最有力はわが息子の重仁だったのになぁ・・・・・・」

 ここまで来ると、上皇は怒りを通り越して笑うしかなかった。

(終わったな)

 最近は藤原頼長が自分を頼ってやってくる。しかしこんな時代に何ができる?


――鬱屈した日々を送っていた崇徳上皇と頼長に、幸か不幸か最後のチャンスが巡ってくるのは意外と早かった。


鳥羽法皇が崩御したのだ。

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