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真殿様と美少女有栖の花嫁計画その2


「この後、俺と共に来てもらおうか」


ざわつく先輩達を他所に、真殿様は瀬戸内有栖さんに手を伸ばす。

静かに真殿様を見つめ、席から立ち上がる。


「あの、真殿くん、だったよね?ごめんね?今日この後少し私用があるからまた後日でもいいかな?」


「そうか、なら俺たちもその私用に付いて行こう。」


相変わらずの真殿様節が炸裂し、困惑したように、瀬戸内さんは苦笑いを浮かべていた。


どうしようかなぁ、とそう思っているようだった。


助けに行くべきなのか・・・でも、3年のクラスに突撃する勇気はないしなぁ・・・あっ、こんな時こそ加藤先輩の出番では!?


その図々しさと胡散臭さを今ここで発揮しないでいつ発揮するんだ!!


僕の少し背後にいた加藤先輩の方を振り向くが、そこに加藤先輩の姿はなかった。


何処いったんだよあいつは!!!


「あっ、みかちゃんや〜ん、今日も別嬪さんやねぇ〜」


「もぉ〜、相変わらず口が上手いんだからぁ」


どうやら、他のクラスは終わったみたいで、みかちゃんと呼ばれた3年の先輩を口説いているアホがいた。えっ、あの人何してるんだろう。


「買い物でも何でも付き合ってやる。が、その後俺たちの話を少し聞いてもらう。」


「ん〜、いや、買い物とかじゃなくて校庭の方に用事があるというか・・・」


「なら尚のこと問題ないな。付き合ってやろう」


「う、う〜ん。」


では待っているぞ、と踵を返して此方へと戻ってきた。

あの人、無理矢理約束を取り付けてきたな・・・


「よし、話を聞いてくれるようだ」


「そうですね、無理矢理話を取り付けてきましたね。相変わらずお見事です、いろんな意味で。」


そうだろ、と僕の意図を汲み取れず盛大なドヤ顔を決める真殿様を横目に、みかちゃんと話し込んで、なんか何処かへと向かおうとしていた加藤先輩を回収しに行くのであった。



「ここです。」

瀬戸内先輩に案内され、僕たちは校舎の裏へと来た。

そこには、綺麗な黄色が一面に広がっていた。まるで、黄色の絨毯のようだ。


「おい、瀬戸内有栖。これはなんだ?」


「菜の花ですよ。今が1番食べ、美しい季節なんだ♪」


瀬戸内先輩は鞄からハサミを取り出すと、一本一本、丁寧に花を摘み出す。

キラキラと太陽が、瀬戸内先輩の髪に反射し、その空間だけが、まるで幻想的だった。


「こんな物がいいのか?なんなら、俺が100本の薔薇でも送ってやるぞ?」


「いえ、薔薇はゴワゴワしているでちょっと・・・色々と難しそうだし。」


「せやなぁ〜、有栖ちゃんには薔薇よりもヒマワリとか、それこそこの菜の花みたいなきぃろい花が1番似合うわ〜」


ありがとう、と天使の様な笑みを浮かべ、また花を摘み出す。


ある程度の花を摘み終わると、瀬戸内先輩は僕たちへと向き直る。


「それで、私に話って何かな?」


小首を傾げ、真殿先輩、加藤先輩、僕へと交互に視線を交わす。

可愛い。


「では、単刀直入言わせてもらう。俺たちの作る部活に参加してもらえないだろうか。」




「いいよ♪」


「えっ!?」


瀬戸内先輩は二つ返事で頷く。

その事に僕はかなり驚いた。えっ、この人部活の詳細とか聞かないで承諾しちゃったの!?


「せ、瀬戸内先輩?ぶ、部活の内容とか聞かなくていいんですか!?」


「う〜ん、なんだか楽しそうだし、高校生活最後なので、みんなと一緒に何かできたらなぁっと思って」


本当に、良いのだろうか。まぁ、僕としてはものすごく有難いんだけど、少しだけ気がひけると言うか、なんというか・・・


「あっ、ごめんなさい。そろそろ帰らないと行けないので、お先に失礼します。また明日お昼休みにでもそちらのクラスに行くね♪」


「送って行くぞ」


大丈夫ですよ〜うち近いので、と真殿先輩の申し出を断り、その姿からは想像もできないような速さで駆けて行った。


「真殿先輩、僕は、送ってほしいです」


「僕も僕も〜」


真殿先輩宅の車に揺られながら、僕たちも帰路へとついていった。




有栖視点


はぁはぁ、よかった。付いてきては、ないかな?


まさか真殿くんからこっちに接近してくれるとは思わなかったなぁ・・・

でも、近づく口実もくれたし、正直ありがたいかな。

騙しているみたいで心苦しいですが、家族の為にも心を鬼にしないとっ!!

目指せ玉の輿!!


「ふふ、菜の花もたくさん採れたし、今日はお浸しかな?」


ごめんね、真殿くん。


でも、私も譲れないものがあるから。




ありすちゃぁぁぁん

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