真殿様の部活動計画
先行き不安な僕たち2人の方へ向かって、足音が一つ聞こえた。
真殿先輩もそれに気がついている様子で、視線をそちらへと向けていた。
「どうもお二人さん、いや〜えっらい探しましたわ〜」
赤みのかかった髪に、涼しげな切れ長の目をした、顔立ちがやけに整った男が目の前にいた。
真殿先輩も整った顔立ちをしているが、真殿先輩とはまた違ったタイプの人だ。
「貴様は誰だ、俺たちに何か用か?」
「あ、そうやったわ〜、初めまして、僕真殿くんとおんなじ2年生の加藤光希いいます。以後よろしく頼むわ〜」
加藤、先輩はすっと手を差し出し握手を求めてくるが、真殿先輩はそれを無視したまま話を進める。
「再度聞くが、俺に、何か用か?用がないなら速やかにこの場から離れてもらいたいのだが」
こら手厳しいわ〜、と少し困ったように笑いながら加藤先輩は手を引いた。
「いや、用事ってほど用事はないんやけど、昨日の自分見て、面白そうな奴が転入してきたなぁ〜と思って、話して見たかったんですわ。」
「そうか、会話ができてよかったな。ではまたな」
警戒でもしているかのように冷たくあしらう真殿先輩。
正直、僕としては計画の方向性もよくわからず、行き詰まっているこの状況を打破したい。
この加藤先輩の事は何も知らないし、なんかちょっと胡散臭いけど、入学&転入してきたばかりの僕たちよりこの学校に詳しいはずだ。早いとこ美人でもなんでも紹介してもらって、とっとと真殿先輩から離れるしかない!
「待ってください、真殿先輩。加藤先輩は僕たちより長くこの学校にいるのですから、先輩の理想の花嫁をさっさと紹介してもらいましょう。」
「あっ、やっぱり転入の挨拶でいっとった事本気やったんやなぁ〜。えぇよ〜、この学校めっちゃ美人さん多いから紹介したるよ〜」
よしっ!やはりこの人知り合いが多かったか!
「ただの美人には興味ない。他の女には無いような特別なものをもっているものではないとダメだ。それと、顔だけで決めるつもりは毛等もない」
めんどくさい人だなあんたは。
「ほん、まぁ、性格も大事やからなぁ・・・花嫁探しも意外と長期戦になりそうやねぇ。」
「そうだな、できれば近くで、時間をかけて厳選したいものだ。」
「あっ、それやったらえぇ方法があるわ」
加藤先輩はポンと手を叩き、ニンマリと微笑む。
「部活でも作ったらえぇんやない?真殿様の理想の花嫁を見つける部、略して真殿様部。」
花嫁候補の女の子たち集めて、部活動してたら楽しそうやし、その子の本質とか知れるやーん、と誰よりも楽しそうに加藤先輩は言い出す。
「なるほど、部活動か。それならクラスの壁も関係なくなるな。で、その部活動とやらはどうやったら作れる?」
「ん、あぁ、部を作りたかったら生徒会の方へ申請すればえぇんやないかなぁ?僕も作った事ないから正確な事は言えへんのやけど・・・まぁ、何とかなるんとちゃいます?」
「貴様、胡散臭い怪しい男と思っていたが、なかなか役にたつな。」
「いや〜、真殿くんに褒められるとなんやむず痒いわ〜」
はっはっはと笑い合う2人に僕は絶句した。
意外とこの2人、馬が合うんだろうなぁ。
「では、善は急げだ。すぐに生徒会まで行くぞ!!」
「おぉー!」
加藤先輩に警戒していた真殿様はどこへ行かれたのであろうか?
2人は意気揚々に生徒会へと向かって行くのてあった。
僕はその2人の後ろを、溢れんばかりのため息と今日のお昼ご飯であるパンを齧りながら追いかけた。
次回、ついに女の子キャラ登場!