真殿様へ20万円返済計画
中庭に移動してきた僕と真殿先輩。
1番賑やかになりそうなこの場所には、数人しか人は見当たらず、その人たちでさえ真殿先輩が姿を見せると、静かにその場を離れていく。
「うむ、ここは実に静かな場所だな。今後の計画を立てるにふさわしい空間だ」
憂鬱な僕の気持ちとは裏腹に清々しく、毒を含んだような笑みを浮かべて仁王立ちする真殿先輩。
そうだ、早く言わないと。
「先輩、貴方にはその・・・変な計画があるようですが、僕は一般市民ですし、昨日助けていただいたのは有難いですが、貴方に協力する義理はないので、ここら辺で失礼させていただきます。」
「協力する義理は、あるのではないか?」
「はぁ?」
「今お前は言っただろう、昨日助けていただいた、と。お前は俺に助けられた、つまりはお前も俺を助ける義理があるだろう?」
何言ってんだ、この人。
俺が助けられた規模と、僕が助ける規模、違いすぎ・・・る?
そう言えば、この人僕を助ける?時お金ばら撒いてたけど、いくらばら撒いたんだ?
「あの、真殿様?その・・・昨日その、あの、い、いくらばら撒いたんだんです・・・か?」
「うん?何のことだ?あぁ、昨日愚民にばら撒いた額が知りたいのか?そうだな、20枚ぐらいじゃないか?」
首を捻りながら頭を悩ませている真殿様を余所に、僕は血の気が引いた。
に、にじゅうまんえん・・・
そんな僕を見て真殿様はニヤリと笑う。あっ、これあれだ、ヤバイやつだ。余計な事を言うんじゃなかった。
「俺に対して、深い、ふか〜い、義理があったな。俺はケチ、ではないから、返せとは言わないさ。ところで忍くん。今から理想の花嫁を探す為に入念な人生計画を立てる予定なのだが、何か異存でもあるのかな?」
「・・・にじゅうまん。イイエ、トクニ、ナニモうん。」
あぁ、さらば僕の青春。
いらっしゃい、20万円の借金。
この高校生活の間で、1人でも友人ができたらいいな。
本当に、切に願います。
「まぁ、計画を立てると言ってもノープランなのだが、お前は何かいい案でもあるか?」
「あるわけないでしょう、乗り気でもないし、そもそも僕はここに入学してまだ2週間しか経ってないのですよ?!」
相変わらず無茶苦茶な人だなぁ・・・
でも、早いところ真殿先輩の目的を達成させ、20万円の恩を返上しなければ・・・そして先ほど去って行ってしまった僕の青春を取り戻す!!
その為にもさっさと理想の花嫁とやらを見つけて貰わなければ!
と僕が1人意気込んでいると
「あぁ、自分らこんなところにおったんやなぁ」
一つの足音が、僕たちに向かってきた。
新キャラ登場!