真殿様の権高計画
真殿様の爆弾発言から1日。
僕はクラスの人達から、遠巻きに見られ、ヒソヒソされるようになっていた。
元からクラスに友達と呼べる人物が居らず、これから頑張るぞ!って矢先なのに・・・
「忍はいるか!」
朝のホームルーム前に、平穏を崩した張本人が1年の、僕のクラスへとやってきた。
一年の教室にも関わらず、この男は僕の座る席までずかずかと入ってくる。
「・・・なんですか、真殿先輩」
「なんだ、随分と元気がないな。」
誰のせいだと思っているんだ。小さくため息をつきながらも、目の前の男に向く。
とりあえず、僕に話があるみたいだから、素早く聞いて、素早く帰ってもらおう。
「うむ、昼休みに俺の教室へ来い。そこで今後の計画について話し合うぞ」
腕を組みながら、真殿先輩は言い放つ。椅子に座ってているためか、真殿先輩を見上げるような形になる。
この人は、身長がでかいこともあるだろうが、それよりも、態度がでかい。
「では失礼する。」
用件だけを言って、すぐに真殿先輩はクラスから出て行く。
張り詰めた空気が和らぐのを感じた。肺に溜め込んでいた息を全て吐き出した後
「あんたのクラス知らねぇよ!!!!!!」
と、思いっきり叫びながら机を叩いた為に、クラスから引かれてしまった。
断ろう、と言うか僕に関わらないで下さいって、言わなければ。
なんで僕があの人の訳の分からない計画に巻き込まれないといけないんだ!
僕には一銭の得もないのに。
授業の合間に、僕は脳内で真殿様と戦っていた。
昼休み、朝に購買で買ったパンを片手に真殿先輩のクラスを目指していた。
この華村高等学校は7組までクラスのある、そこそこ大きな学校だ。あの人のクラスは知らないが、まぁ、目立つ人だから2年の先輩に聞いたらすぐに教えてくれた。
『あぁ!真殿王手様のクラスは1組ですよ!!』
と、運動部に所属してそうな爽やかでキラキラした先輩が教えてくれた。一部変な単語を聞いたような気がするが、忘れる。
教えてもらった通りに1組の教室を覗くと、数人の女子に囲まれた真殿先輩を見つけた。
「ねぇ〜真殿くぅ〜ん。私結構料理とか掃除得意なんだけど〜、花嫁としてピッタリじゃない??」
「あっ、確かに〜!A子からこの前お菓子とか貰ったんだけど本当に激ヤバだったよ!」
A子と呼ばれた化粧バッチリのまぁ、美人さんは真殿先輩に擦り寄るようにして自身をアピールしているようだ。
「悪いが、顔面レベルが俺の理想とする花嫁より低いので遠慮させてもらう。」
A子さんはまるで石化でもしたかのように、その場に固まった。
A子さんの取り巻きであっただろう女子生徒たちも、おどおどしながら困っている様子が遠目からでも分かった。
そんな女子達に目もくれず、僕に気がついたようで優雅に立ち上がるとこちらへと歩いてくる。
「なかなか、強烈なこと言いますね真殿先輩は」
「なんだ、見ていたのか。変に期待させる方が後々面倒な事になるだろ。あぁ言う輩は無駄に高いプライドをへし折るのが1番効果的だ」
お前も覚えておくといい、って言ってくださったが、多分、僕には一生使う機会がないいワードたちだろう・・・
1組の教室から出た僕たちは、中庭の方へと歩みを進めたのである。