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真殿様のプロデュース計画


薄っすらと、目を開ける。何度か瞬きした後に、ここが自分の部屋じゃないことに気がつく。


あっ、そうか。山野辺先輩の漫画を手伝う為に、真殿先輩の家に泊まっていたっけ?


起き上がるとそこには、蘇芳先輩、瀬戸内先輩、加藤先輩の姿しか見えず、真殿先輩達はいなかった。


「あれ?真殿先輩と山野辺先輩、は?」


「あっ、おはようございます忍さん。王手様達は入稿?されに行ったそうです。」


あっ、本は完成したのか。途中から記憶が曖昧になったので、それを知ることが出来てよかった。


「メイドさん達が朝ごはん準備してくれたよ〜!持って帰りたいなぁ・・・じゃなくて、ご飯食べて早く学校に行かないと!!」


瀬戸内先輩の指差す方には、ホテルのビュッフェでしか見たことの無い朝食の数々が並んでいた。


メイドさんは、瀬戸内先輩にタッパを渡し、それを嬉しそうに受け取り、詰めていた。

瀬戸内先輩が嬉しそうで何よりですはい。


僕もそのまま朝食を味わうのだった。と言うより、今日学校なのに徹夜してたんだ、僕たち。これ、絶対に授業中寝るパターンかな。


せめてもの抵抗として、メイドさんが注いでくれたカフェ・オーレを飲み干すのだった。




無事に真殿家の車で学校まで送り届けてもらった僕たち。

それぞれのクラスに分かれ、僕は案の定居眠りをしてしまった。幸いにも先生に見つからずに済んだ。


そのまま放課後になったが、真殿先輩は学校に来ていないようだった。


「王手様、戻ってこられませんでしたね・・・」


同じクラスの蘇芳先輩から聞く。僕たちもグループトークメールにて、メッセージを送って見たが、返事はない。


「まぁ、真殿くんの事やから平気やと思うけど、波瑠ちゃんの方まで学校来てへんとなると、ちょっと心配やねぇ。」


朝から姿を見せない2人に、女子2人は不安げな表情を見せる。

加藤先輩は相変わらず表情が読めないが、多少なり気にはかけているんだろう。


「わたくし、もう1度王手様の家まで行ってみます。」


蘇芳先輩が踵を返し、校門へと走り、向かう。

僕たちもそれを追うようにして走り出す。

しかし、蘇芳先輩物凄く足が速いっ!!


数メートル先で立ち止まる蘇芳先輩を見つけ、ようやく追いついた。


蘇芳先輩の前には、スラっと身長の高い切れ長の瞳をした綺麗な女性が立っていた。


肩まで切り揃えた髪を風で靡かせながら、蘇芳先輩を見つめていた。


「おぉ〜、全員ここにいたでござるか!いや〜、拙者超探したでござるよ。」


無表情に、その女性は僕たちに向かって手を振る。


う、ん?あれ、なんかこの美人とミスマッチするような、昨日すっごい聞いた言葉が、この人から発せられたような・・・


「えっと、すみません。貴女、誰、でしょうか?」


「むっ、拙者の顔を忘れたでござるか?昨日戦地を共にしたと言うのに。」


ここまで言われて気がつかないほど、僕はバカじゃ無い。けど、けどこれあまりにも違いすぎるっ!!


「えっ、と、もしかして山野辺 波瑠さ、ん?」


恐る恐る瀬戸内先輩が確認を取る。


「そんなに変わったでござるか?拙者としては、髪切って眼鏡外したぐらいなのでござるが・・・」


その場で、部員全員が声を上げた。あの加藤先輩ですら驚きを隠せないようだった。


そんな僕たちをよそに、山野辺先輩の背後から真殿先輩が歩いてくる。


「なんだお前たち、もう合流したのか。今連絡を入れようと思ったのだが、早かったな。もう少し早めに戻る予定だったが、思った以上に時間をかけてしまった。」


そのまま、今日1日山野辺先輩を連れて、美容院や眼科、コンタクトレンズを購入しに行ったらしい。


「元々、整った顔立ちをしていると思っていたからな。眼鏡を外しコンタクトにしてもらっていたのだが・・・」


「拙者、眼球に異物を入れる経験など無かったでござる・・・マジ目から鱗が出るかと思ったでござる。」


この人、本当に素顔と言動が一致しないなぁ・・・

慣れるまで時間がかかりそうだ。


「あっ、そう言えば拙者なんでこんな事になったか聞かされていないでござるが。」


金はねぇでござるよ、と真殿先輩に言う。

こんな長時間連れ回して、山野辺先輩に何も言ってないのかな、この人。


「山野辺 波瑠、お前は俺が作る部に入部してもらう。反論は認めない。」


「えっ、普通に嫌でござるが」


「俺の部に入ったら、お前は漫画のトーン使い放題、ペンなどは取り揃えておいてやろう。」


「真殿カッコいいでござる、拙者とっても入りたい」


ちょろいなこの人。


「そして、また全員で漫画を描くぞ。あの部室で、な。」


真殿先輩の言葉に、全員が笑顔で頷いた。


「今度は、全員・・・寝かせないでござるよ!!」


また新しい仲間が加入した。物凄い美人だったけど、物凄い変な言葉を使う先輩。


「良かったね、神楽坂くん。」


「えっ?瀬戸内先輩、今何か言いました?」


「ふふ、なーんにも!」



花嫁候補 山野辺 波瑠 入部決定



「えっ、拙者花嫁候補とか嫌なんでござるが」


波瑠ちゃん編、完結。

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