真殿様のピクニック計画 その2
石積みされた台の上に網を置き、簡易的なバーベキューコンロを作った上で、肉や野菜を焼き始める加藤先輩と瀬戸内先輩。
流石に後輩の僕がずっとパラソルの下で、のほほんと過ごすのはどうなのだろうかと思ったが、加藤先輩は
「えぇからえぇから。ここは僕と有栖ちゃんに任せといて、な?」
と言って張り切ってるようなので、代わろうにも代われない。
まぁ、いっか。加藤先輩楽しそうだし。
高級そうな、と言うか間違いなく高級なお肉に舌鼓を打つ。
真殿先輩は優雅にコーヒーを飲みながら、こちらの様子を伺っているようだった。
そんな真殿先輩の隣でニコニコと微笑んでいる蘇芳先輩。
もう少し、殺伐とした、と言うか色々と凄いことになると思っていたが、意外と穏やかにピクニックを行えている気がする。
「普通に、ピクニックですね。普通の」
「うん?やはり、普通では面白くないのか?ならば今からでもリゾート地の貸切を・・・」
「バッ!!いや、普通最高ですよ?!普通っ、最高!!」
僕は万歳三唱をする勢いで全身を使って、手を何度も上げる。
普通に静かに平和なピクニックを壊してなるものか。
真殿先輩に余計なことはさせない。そんな謎の使命感に僕はかられていた。
「あっ、次の肉焼けたで〜。早よ来な全部有栖ちゃんが食べてまうよ〜」
「そんな事しません!!残った物をタッパに詰めるぐらいです!!」
瀬戸内先輩が、肉焼き係から離れないのは、その為か??
まぁ、瀬戸内先輩場所提供をしてくれてるし、そのぐらいはいいんじゃないかな?家族多いし。
「有栖ちゃんっ、今日はお肉、いっぱい食べて帰ろうな。」
加藤先輩はわざとらしく涙ぐむふりをしながら、瀬戸内先輩の肩を叩いていた。
「王手様、どうぞ。あーん、してください。」
蘇芳先輩が新しく焼かれた肉を、真殿先輩の口元へ付近と持ってくる。俗に言う、あーんと言うやつだろう爆ぜろ。
「王手くん、こっちのお魚も美味しそうだよ?はい、あーん」
そんな蘇芳先輩を見て、一瞬頬を膨らませた瀬戸内先輩も、ほぐした魚の身を真殿先輩の口元付近へと持っていく。爆ぜろ
「いや、俺は野菜が食べたい。」
真殿様は美少女2人を右手で制して、網の上で焼かれていたピーマンを食べ始めた。
この人は、本気で嫁を探す気があるのだろうか?
それとも抜けてるのか鈍いのかアホなのか。
もう、どうでもいいや。
黙々とピーマンを食べる真殿様、無言で肉を焼き続ける加藤先輩に、固まっている女子を軽く無視して、僕も肉を食べ始めた。
何事もなく、親睦会と言う名のピクニック?バーベキュー大会?は終わりを迎えた。
僕たちの仲が深まったかは謎だが、女子2人の絆は深まった様子だった。
平和な話を、書いてみたかったです。




