表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/39

真殿様の偉大なる計画

ある晴れた日の4月、暖かな日差しが差し込む陽気な空気とは違い、僕は、修羅場を迎えていた。


「ねぇ、今なら1万でこの学校を案内してやる、って先輩が言ってんだからさぁ、後輩は素直に聞くもんでしょ?」


「そうそう、その辺わかってる?」


この、華村高等学校に入学して2週間。僕は早々にカツアゲにあっていた。

ネクタイの色は白で、3年生である事がわかる二人組は、人が全く見当たらない場所へと僕を連れ出し、逃げられないように囲っている。


「あの、僕一万円も持ってないんですが・・・」


「え〜、マジで?一万円も持ってないの?じゃあ、俺らに借金って形でいいよ?まぁ、当然利子もつけるけど〜」


「そうそう、俺ら優しぃ〜から、俺らの手伝いするだけで借金チャラにしてあげるよ?」


ニヤニヤと悪い笑みを浮かべながら、僕の胸ぐらを掴む。


「ほら、あと5秒で決めてね〜、ごー、よーん、さーん、」



カウントが0になったら殴られるんだろうか?

お金はないし、かと言って、こいつらの言いなりになるなんて、絶対に、死んでも嫌だ。



「貴様たち、そんな暗隅で何をやっているのだ?まぁ、庶民にはお似合いの場所かもしれんがな。」



目の前にいる二人組とは違う声。上から目線のその言葉にはどこか傲慢さや、高貴さを含んでいると感じた。

ちらりとその声の主へ目を向けると、やけに整った顔立ちの長身の男で、ネクタイの色から2年生である事がわかった。


「んぁ?なんだ、お前。2年生が3年生の俺らになんか用ですかぁ?」


「なに、お前も俺らとオトモダチになりたいの?」


3年生2人組は、少し自分より身長の高い男に一瞬ひるんだが、青色のネクタイを見てすぐに2年生である事を悟ると、その男へと突っかかる。


「友?この俺がお前らみたいな愚民と友に?はっ、随分と面白い冗談だな。ところで、体育館に行きたいのだが、お前道案内をしろ。」


その男は目の前の先輩を一瞥すると、僕の方に視線を向けた。

男の態度に先輩2人組は殴りかかろうとしたが、胸ポケットからフワリと数枚の紙を取り出したかと思うと、それを地面へと落とす。


よく見てみれば、その紙はお札、出会った。しかも、この日本で1番の男前でどんな人でも虜にする、一万円札様だ。


「お前達はこれが欲しかったんだろう?拾え。貴様らにくれてやろう。ほら、地面に這いつくばって拾うがいい」


驚きのあまりなのか、本能がそうしたのか、先輩2人組は地面に這い蹲り、お札を拾い出した。


「お前っ、1枚多く取っただろっっつ!!」


「はぁ!?お前こそ俺より多く取り上がって!!」


地面に膝をつきながら、2人は取っ組み合いを始めていた。


「くっ、くっくっ、ハハハハハ!!あー、面白い光景が見れた。さて、案内してもらおうか、そこのお前。」


1人この光景についていけなかった僕に、男は再度言葉を繋ぐ。

それは、疑問形でも、何でもなく、決定事項で、命令事項のようにも思えた。


「さぁ、俺の偉大なる計画の幕開けだ」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ