真殿様の逃走計画 その1
神楽坂生徒会長とのいざこざから、速3日。
僕たちは昼休みや放課後を使い、学校の生徒に声かけをしてみるが・・・一向に部員は集まらない。
「そらそうやろうなぁ〜、あんだけ大々的に花嫁候補を探す〜、みたいなこと真殿くんが言ってはって、有栖ちゃんがその候補に入ったようなもんなやから、他の女の子は尻込みするわなぁ」
前も言ったやん、有栖ちゃん学校でもトップクラスや〜って、と加藤先輩は言っていた。
確かに、瀬戸内先輩が入部?してくれた事によって活動面が前進したところもあるが、マイナス部分も大きい。
なんやかんやで4月後半に差し掛かった。神楽坂生徒会長から出された条件終了まで、残り1ヶ月。
それまでに残り3人見つけないと。
って、なんで僕がこんな風に考えないいけないんだろう。
あっ、と今授業中である事を思い出しすぐに黒板へと目を向けるが
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
窓の外、グランドの方から聞こえた真殿先輩の絶叫に思わず椅子から立ち上がり、そちらへと顔を向ける。
他の生徒も驚いたのだろう、同様に窓へと顔を向けた。
そこには、真殿先輩に抱きつく女子生徒の姿が見えた。
しばらくして、真殿先輩の体は崩れ落ちるようにその女子生徒に寄りかかっていたが、その女子生徒は真殿先輩を抱えて、何処かへ走り去っていく。
真殿先輩、お姫様抱っこされてたなぁ・・・
真殿様視点
「今日は、転入生を紹介します。どうぞ、入ってください」
今朝、教師の言葉に少し頭をひねる。俺が言える立場ではないが、この時期に転入生とは珍しいな。しかも、立て続けにこの教室に転入生を入れるとは。
まぁ、いい。俺には関係のないこ「王手様、お会いしたかったです!!!」
突如聞こえてきた、聞き覚えの、馴染みのある、むしろ逃げてたかった声が聞こえた。
気候がだいぶ暖かくなったとは言え、まだ春先だ。少し肌寒いぐらいなのにも関わらず、一気に冷や汗がででくる。こ、の、声、は・・・
いや、まさか、いや、そん
恐る恐る顔を上げると、美しい黒髪を1つにまとめ、大きな黒い瞳をした美しい女性。
「あ、あ、あ、明日香っ!!!」
「はい!王手様を追いかけて参りました。わたくしも、これからこの学校の生徒になり、王手様のお側にいます!!」
条件反射的に、俺は教室から飛び出す。明日香、明日香がこの学校に!?
いつのまにかグランドの方まで来ていた。
「王手様、驚かしてしまい申し訳ありません。でも、わたくし、王手様にお会いしたかったんです!」
いつの間にやら背後に回った明日香に抱きしめられた。
明日香の香りを感じたが、それ以上に首への圧迫を感じ、俺は、意識を失った。