プロローグ
まだ俺が幼い頃、可愛い女の子と婚約を結ぶことになった。
母親から「貴方が大きくなったら、明日香ちゃんと結婚するのよ?」と言われても、いまいちピンとこなかったが、とりあえずこの可愛い女の子は将来俺のお嫁さんになる、という事だけはわかった。大きくて、綺麗な瞳に絹のような美しい黒髪。間違いなく将来は美しい女性になるだろうと、子供ながら、そう思っていた。
「おれの名前は、まどのおおてだ!!お前を、いっしょう幸せにしてやる!!」
まだ、状況が掴めず、困惑したような表情を見せる女の子に、そっと手を伸ばす。
俺は男だから、この子を守っていかないと、俺のお嫁さんなんだから。
そう思って、いた。当時の俺は、彼女の素性などこれっぽっちも知らなかったのだから。
俺の将来のお嫁さんで、可愛い女の子で・・・
「わ、わたし、わたし、わたしいぃぃぃぃっ!!そ、そんなっ!!!」
女の子、蘇芳明日香は、顔を赤くしながら俺の腹を右ストレートで殴った。そして、痛みにより怯んだ俺の腕を掴み、そのまま、背負い投げをされ、意識を手放す。
その一撃はそう、可愛い女の子のものじゃなく、大の大人ですら悶絶する程の、拳だった。
薄れゆく意識の中、俺は、彼女と結婚とか無理っ!!!
と、思いました。
後々、両親から聞いた話によると、蘇芳明日香の家は代々武術の名門一家で、明日香はその才能を一身に受け継いでるとかなんとか・・・
そう、全てはここから始まった。俺の人生を掛けた、俺の理想の花嫁計画が。