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ものがたりの合間に-3
ものがたりの中に生かされた笹山は現実に強く希望を抱いていたのでしょうか。
ものがたりの世界は一方的で、中に希望を存在させないと決めれば、まさしく希望は0の世界が出来上がります。苦しみも痛みも無い代わりに、楽しみも希望も無いと感じたのでしょうか。
一方ものがたりの中に生き、現実を拒みつつもものがたりを現実とはしなかった主人公。
彼は苦しみの無い筈の世界で笹山の死に苦しみ、それを忘れるかのように自分も死んでいきました。ものがたりの世界はやはり一方的なのです。見方を変えるといくらでも苦しい状況になるのですから。
さて、そんなものがたりにも果てというものが存在するのです。
ものがたりの果てと言われて何を考えますか? エンディング? エンディングのその後? 違います。もっともっと先にものがたりの果ては存在するのです。
私はそれを、ものがたりの消滅とも呼んでいます。