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序章
この国にはとある御伽噺がある
昔々この国は未曽有の大災害に襲われた
地は割れて国を割り
海は割れて海底火山が噴火し
空は重い曇天続きとなり
濃霧が立ち込めた
これを神の怒りと人々は慄いた
明日が来るかもわからぬ日々が続き
誰もが希望を失くしたときそのヒトは現れた
八匹の龍の王を引き連れて
地龍は割れた大地を繋ぎ
火龍は倒れ無残な木々を一息で燃やした
森龍は新たな樹の芽を生み驚く勢いで成長させ大樹となした
風龍は濃霧を吹き飛ばし、曇天の空を晴天に変えた
水龍は燃える大地に恵みの雨を降らせた
海龍は荒れる海を沈め海底火山を鎮火させた
闇龍は国に安らぎの闇を創りだし
光龍は希望の光を照らし傷ついた大地と生き物を癒したという
龍とやってきたヒトは絶望しかもたなかった人の中で唯一希望を捨てなかった男だった
各地を泥にまみれ傷だらけになりながら眠れる龍達を起こし、その力を発揮してもらったのだ
男の瞳には、龍との契約の印が刻まれていたという