あ
「おぉ〜!ここが都会か・・・」
脱力。その感覚が、ケイトを包んだ。今まで入れていた力がスッと抜けた。16歳での上京。若者にとっては夢のことだ。電車を降り、ホームに立つ。
「列車も、オレの列車とは違ったなぁ・・・。やっぱ、都会はいいなぁ」
無理矢理直した言葉が不自然だ。1つ、深呼吸をするケイト。
「やっぱ、田舎の方が、空気はうめぇ」
背負ってきた鞄に力を込め、歩き出す。ホームを抜けて、改札口の近くに出ると、そこは田舎のホームとは天と地、月と鼈・・・。いくつもの言葉が浮かぶ。
「はぁ!ついに、オレも来たぞぉ!」
改札口を抜けた瞬間、ケイトは叫んだ。どうみても、変質者だ。
「はっ!いけねぇ。早いトコアパートに行かねぇと」
テクテク走っていくケイトのファッションは周りから少し浮いていた。ケイト自身、そんあことに気がついていない。
「こんちわぁ!オレ、ケイトって者ですぅ!今日から、お願いしますぅ」
都会の中心部からずれ、アパートの前に立ったケイト。『管理人室 元木慶子』と書いてある部屋の前でチャイムも押さないで大声をだす。
「なんだい?チャイムはついてるよ、うちはそんなにボロにみえるのかい?」
中から、70過ぎのおばあさんがノソリと現れた。
「あっ!失礼しましたぁ・・・。んで、オレの部屋はどこです?」
「こっち・・・」渋々顔で案内をする元木。
(やっぱ都会って、寒ぃんだなぁ)
ケイトは、心の中で抵抗しながらも、笑顔で部屋に入った・・・。そして…。
ケイトは女になった。
「都会って、いいわね」
そして…。
ケイトは遺体で発見された。
場所は動物園のおりの中である。
ちなみに母親は現在パプアニューギニアへ野球留学中である。
「…トマトオォォッ」ケイト(笑)