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真夜とトーラス  作者: 白糸モモ
1章ドーナツと宝探し編
8/22

8話 ドーナツの真相

「その、ある女の子と仲良くなるにはどうすればいい?」


 日奈は裕にそう問いかけた。

 裕はそれを聞き、物珍しいものを見るかのように、少し驚いた様子だった。


「日奈。お前がそう言うのは、珍しいというか」

「何? 私が誰といたって良いんじゃないの?」

「まあ、否定はしないんだが。お前が他人と仲良くなりたいだなんて、珍しいというか」

「うん。私も、不思議。だけど、私はきっとその子とは、仲良くなれる、と思う」

「そうか。具体的にどんな奴か聞いても良いか?」


 日奈は頷いて、ある女の子について説明していく。

 ドーナツ屋で会った時からの話で、それから途中で別れて逃げたこと。

 日奈の話を聞き終えた裕は、日奈に鋭い一言。


「お前って、なんか不器用だな」

「ぶ、不器用って……」

「あと、素直じゃなくて、ひねくれていて……」


 淡々と裕は言っていく。日奈は恥ずかしそうに肩を震わせながら、


「も、もういい!」


 恨めしそうに裕を見た。


「いや、ごめん。言い過ぎだったな」


 裕が申し訳なさそうに謝ってきたので、日奈はすぐに許した。


「それで、裕くんはどうすればいいと思う?」

「んー。お前、今から学校行けば?」

「いや、学校って。今から行ったって間に合わないよ」

「じゃあ、俺の自転車の後ろ乗っていくか?」


 裕はそう言いながら、自転車のサドルに跨り、後ろに乗る様に促してきた。


「いや、法律違反」


 日奈はそう呟くと、裕の後ろに座った。


「じゃあ、行くぞ」

「あ、待って」

「ん? 何か忘れ物か?」

「うん。忘れ物というか、とにかくドーナツ屋向かって!」

「は? 急ぐんじゃないのか?」

「まあ、法律守って。だけど急いで!」

「無茶苦茶だな! 振り回されないように、しっかり掴んでおけよ」


 裕はペダルを思いっきり踏み、漕ぎ出した。


「掴むって、どこぉおお!」


 思いのほか、日奈は振り回された。

 やっぱり乗るんじゃなかった。



 日奈はドーナツ屋のショーケースをじっくり眺めて、難しそうに睨めっこしていた。

 そして、これだと思ったものをトングで掴み、トレーに置いていく。

 お会計を済ませると、日奈はそそくさと、逃げるように後ずさりして店を出た。

 その一部始終を見ていた裕は一人笑っていた。

 

「お前、やっぱ、面白い奴」

「うっさい。裕のばか」


 日奈は不服そうに、裕の後ろに座った。

 

「じゃあ、行くぞ。学校に」

「う、うん」


 日奈は不安そうに、静かに答えた。



 自転車を漕いで数分。

 二人は学校にたどり着いた。

 時刻は6時くらいで、外は少し暗くなりつつあった。

 

「それで、その、日奈が言っていた金髪の少女?ってどこにいるんだ?」

「えっと、実は、分からないんだよね。えへへ」

「お前、マジかよ。じゃあ、どうするんだ」

「えっと、その、多分同い年」

「ああ、同じ学年って事か。つまりは同じ階の教室か?」

「多分、そうなんじゃないかな?」

「早生まれとか、遅生まれとかあるよな。と考えるなら、下の学年も、上の学年のどちらでもありえるよな」

「あ、それ確かに」

「おい、一気に難易度上がったな。となると3学年分の教室回ることになるぞ。流石に、そんな時間ないぞ」

「ごめん」

「いや、別に俺は良いんだが。何か金髪以外に何か情報ないのか?」

「えっと名前は確か、真夜ちゃん」

「それ、最初から言えよ。真夜って、俺のクラスのやつだな」

「え、知り合い?」

「いや、話したことない」

「そうなんだ。真夜ちゃん、見た目は金髪でちょっと怖いけど、良い子」

「そうか。じゃあ、2ー3の教室行くぞ」


 二人は校舎に入り、2階へと上がった。2階に上がってからは、2-3の教室へと向かう。

 教室の窓を二人は覗いてみた。


「あれだな。あの金髪」

「金髪じゃなくて、真夜ちゃん」

「ああ、ごめん。お前、教室に入って渡して来いよ」


 裕は日奈の持つドーナツの紙袋を指差しながら言った。


「えっと、その、私、みたいなのが、入っていいのかな?」

「別に、問題ねーよ。俺は先に帰るぞ」


 裕は少ししびれを切らしたかのように言って、そのまま階段の方に行った。

 日奈は一人廊下に取り残されたまま、じっと教室を眺めていた。

 やっぱり綺麗な髪と、日奈は見惚れていた。

 眼前にいる金髪の少女は気難しそうな顔をしながら、何か書いていた。

 今、邪魔したら、まずいよね。

 日奈はそう思い、教室のドアを少し開けようとした。

 だが、思ったよりもドアの音が大きく、日奈はびっくりしてドーナツの紙袋をドア付近に放置したまま、走り去った。

 後々、学校から戻ってきた日奈に事の顛末を聞いた裕は、「お前、不器用なやつ」と呟くのだった。

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