4話 スマホ落としちゃった……
とある日の昼下がり。
ドーナツ屋で真夜と再び再会してしまった日奈。
日奈はビクビクしながら、真夜が何かしてこないか真夜の様子をじっくり見ていた。
真夜はジト目で、
「日奈。そんなに怪しそうに見て。別に私は何もしないよ」
「本当に?」
日奈は訝しそうに聞き返した。
そんな日奈に対して、真夜は少しだけ笑みを零した。
「うん。ここには、普通に昼食取りに来ただけで、たまたま日奈に会っただけだよ」
真夜はそう言うと、ティーカップに手をかけ、一口飲んだ。それからドーナツを一口食べ、口に付いたドーナツを上品にもナプキンでふき取っていた。
日奈も警戒しつつも、チョコのドーナツを食べた。
しばらくして真夜が急にドーナツを差し出してきて、
「日奈も一口食べてみる?」
「いや、別に」
日奈は遠慮気味に答えた。
そんな日奈に対して真夜は少し強引に、
「良いから! はい!」
日奈の口にドーナツが一口入る
日奈は口に入ったドーナツをモゴモゴと食べ始めていた。
「あ、日奈がドーナツ食べてる」
真夜はそう言いながら、テーブルに肘をつきながら、嬉しそうに日奈を眺めていた。
「あの、私のこと動物か、何かと勘違いしている?」
「いや、そんなことないよ。日奈って食べているとこ、すごく可愛いって思うよ」
「か、可愛いって……」
日奈は恥ずかしそうに頬を赤らめた。
自分のことを可愛いだなんて言ってくれたのは、今までで、初めてだったから。
「日奈の頬張っているところ、写真とりたいかも」
「真夜、キモイよ」
「あはは。まあ、まあ」
真夜は誤魔化しつつ、バッグから何か取り出そうとしていた。
その時だった。真夜は急に焦りだした。
「あれ、おかしいな。さっきまで持っていたはずなんだけどな」
真夜は何か困った様子で探しているようだった。
「何か、探してる?」
「うん。スマホをね。どっかに落としちゃったみたいで」
真夜はさらに焦った様子でバッグの中をガサゴソと探していた。
「やっぱりどこかでスマホ落としちゃったみたい」
何度も真夜はバッグの中身を確認するが、スマホらしきものが出てくることはなかった。
焦った真夜は席を立ち、申し訳なさそうに手を合わせると、
「ごめん、日奈。悪いけど、また今度ね! どこかで落としちゃったみたいだから、スマホ探してくるよ。あ、私が買ったドーナツは全部食べちゃっていいから」
「え? ちょっとまって」
日奈は真夜を呼び止めるも、すぐにドーナツ屋を出ていった。
一瞬、呆気に取られていた日奈だったが、真夜を追いかけようと席を立ち、ドーナツ屋を出た。




