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真夜とトーラス  作者: 白糸モモ
1章ドーナツと宝探し編
15/22

14話 コーヒータイム

 真夜と裕が二人で紙袋を回収している間、隅はドーナツ屋の前にいる日奈のところに戻っていた。

 

「ちょっと! 協力者がいるってどういうことかしら!」


 隅は少し怒っていた。

 一方、日奈は平然としながら、ベンチに座って、コーヒーをストローで吸っていた。


「いや。私のドーナツに皆、命かけすぎ、私も含めて…」

「確かに、そうですわね」


 隅は可笑しくなり、つい笑っていた。

 日奈は「まあ、そうだね」と言いつつ、ストローでコーヒーを吸う。


「ところでクマちゃん。もう私のドーナツはいいの?」

「そうね。もう、いいかしら。それに駅周辺って、広すぎてもう、お手上げかしら」


 隅は手を上げて降参のポーズを取った。

 日奈は「そう」とだけ呟いた。


「今度宝探しするのでしたら、どこか一か所の建物にしてほしいかしら」

「そうだよね。やっぱり駅周辺じゃ広すぎたよね」

「そうね。おまけに黒服達とは連絡つかないし……」

「黒服って、探すのに手伝ってもらったの?」


 日奈は驚きながら言った。

 それに対して隅は当然であるかのように答えた。


「そうですわ。だって、駅周辺を1時間で隅々まで1人で探せって無謀ですわ。というか、元々、それを知った上で範囲をわざと駅周辺にしたわね」

「えっと、なんのことでしょう……」

「とぼけても無駄よ」


 少し引き攣った顔で答える日奈に対して、隅はやれやれと呆れた様子だった。

 隅は日奈の隣へと座ってきた。


「ところで七瀬さんはこちらへ戻ってきていないのかしら」

「多分、今も探している」

「そうみたいわね」

「うん。真夜ちゃんなら、そうする。そして、私を、見つけてほしい」

「え? どういうこと?」


 隅は日奈がおかしなことを言ったと感じ首を傾げた。

 日奈はどこか嬉しそうに話していた。それはまるで意中の相手について語るかのように。

 その横顔を見ていた隅は気になって前のめりになっていた。


「えっとね、これは夢の話なんだけど。私、金髪の女の子とかくれんぼしていた。それで、小麦畑に入って行ったその子を、私は捕まえられなくて。なんというか、夢に兄さんが現れて、止められたの、父上に怒られるから麦畑には入るなって」

「そう、そんな夢をみたのですね。それは椎名さんの昔の話だったりして?」

「多分そう、かもしれない」

「そしたら、もう金髪の少女とはすでに会っているのでは?」

「うん。私の思い違いじゃなかったら、真夜ちゃんは、昔、一緒にかくれんぼした女の子」


 日奈はまるでときめく少女のように語った。

 それに対して隅は優しく相槌を打った。


「そうだと、いいですわね」

「うん」


 日奈はそう言って微笑んだ。

 そんな日奈に隅はさらに質問を重ねた。


「それで今回の宝探しと夢の話は何か関係あるのかしら?」

「えっとね、紙袋の中にねちょっと、紙切れを入れたの。何を書いたのか、教えられないけど」

「そう。なら、二人が帰ってきたら聞いてみることにするわ」

「うん。多分、後20分もすれば帰ってくると思うよ」

「そう。ならワタクシもここでコーヒーを飲みながら待ちますわ。椎名さん、そのコーヒー、どこで買ったのですか?」


 隅に聞かれて、日奈は指差した。

 ドーナツ屋の方向を。


「ワタクシ買ってきますわ」

「うん。行ってらっしゃい」


 隅は嬉しそうにはしゃぐ子供のようにドーナツ屋へと入っていく。

 ドーナツ屋へと入っていく隅の姿を見ながら、日奈はコーヒーを啜った。

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