表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真夜とトーラス  作者: 白糸モモ
1章ドーナツと宝探し編
11/22

11話 キャッチャー・イン・ザ・ウィート

 金色に輝く小麦畑に、白いワンピースを着た金髪少女がいる。

 目の前にいるというのに、自分は少女を捕まえることができなかった。

 なぜなら少女の美しい金髪が小麦畑で消え去ったから。

 

「おーい! こっちだよ。日奈」


 そんな風に自分の名前を、少女は笑顔で言った。

 少女の年は10歳くらいだろうか。

 そして自分の手、足を見回して、頬を触ってみる。

 ああ、自分も少女と同じくらいなんだ。

 自分は少女を捕まえようと小麦畑に入ろうとするが、入る前に急に足がすくんで、その場に座り込んでしまった。

 金髪の少女は私に言った。


「日奈。なんで私を捕まえないの? 私はここにいるよ!」

「えっと、あのね、その、小麦畑に勝手に入るのはだめだよ」


 金髪の少女は首を傾げた。


「日奈はおかしなことを言うんだね。大丈夫だよ、だって、ここは……」


 金髪の少女が何か言いかけた途端、急に自分の肩を叩く人がいた。

 自分は振り返って正体を知る。

 スーツ姿の青年が一人いた。相変わらず、第一ボタンはつけておらず、ネクタイもない。

 あれ? なんで、あなたが……。


「あ、兄さん」

「日奈。ダメじゃないか。父上に怒られるぞ」



 日奈はハッとなり、すぐに飛び降りるように目が覚めた。

 さっきのは夢、だったのかな……。

 夢にしてはどこか懐かしい風景があった。その懐かしい風景には金髪の少女がいて……。あれ、なぜだろう。自分は、あの少女の顔が思い出せない。少女のことを知っているはずなのに、なぜなんだろうか。

 日奈は府に落ちない様子のまま、ベッドから出て、学校へ行く準備をし、家を出た。



 放課後になって、日奈はドーナツ屋にいた。

 最近、ドーナツ屋に行くことが多くなっていた。

 特に、この二人とドーナツ屋に行くことが多かった。

 一人は金髪の少女、真夜だ。初対面だった私に気軽に声をかけてくれた優しい子。

 もう一人はツインテールの少女、隅だ。隅は言動が何やら何までお嬢様という印象だった。

 そんな二人はなぜか同じドーナツの取り合いをしていた。

 私は呆れながら、この人たちは他人です、という風な振る舞いをしていた。


「それ、私のだから!」

「何を言っているのかしら。これはワタクシのものですわ! あなたさっきワタクシよりも多く食べていたではありませんか!」

「それは隅のほうだって!」

「いいえ、ワタクシはそんなに食べていません! 七瀬さん、あなたの方がワタクシの皿から横取りしたではありませんか!」

「何を……」

「グぬぬ……」


 そんな風になぜか喧嘩をしている二人であるが、この二人はドーナツでここまでIQ下がるものなのだろうかと、日奈はため息をついた。


「あの、そんなにドーナツ食べたいんだったら、真夜ちゃん、私のあげるよ」

「ええ! いいの!」

「うん!」

「ちょっとお待ち!」


 隅が割り込んできた。


「それもワタクシのものかしら」

「何を言っているの、隅。これは私が日奈からもらったものだから」

「いいえ。この世の甘いものはすべて、ワタクシのものですから」

「ぐ、この、悪役令状! 強欲め!」

「そう言ってもらっても、構いませんわ!」


 二人はなぜか一歩も譲らない様子だった。

 日奈はもうめんどくさいと思い始め、二人から急にドーナツを取り上げ、


「二人とも、もう店でるから!」


 と言い放ち、先に店を出た。

 二人は、「「ちょっと待ってよ!」」と言いつつ、一緒に店を出た。


 店を出てから日奈は、二人にこう告げた。


「二人ともそんなにドーナツ欲しいなら、宝探ししよう!どっちか先にドーナツを見つける。見つけた方が、ドーナツ食べることができるってどう?」


 日奈の提案に二人は一瞬呆気に取られていたが、


「いや、まさかそんなこと考えていたなんて、何か面白そうだからいいよ」


 と真夜は言い、


「仕方ないかしら。ドーナツのためでしたら、ワタクシもやりましょう」


 と自信満々に隅は言った。

 ドーナツの取り合いから、宝探しに発展した勝負。まさかあんな風にドーナツがなくなってしまうとは……。


「とりあえず私に10分ちょうだい。隠してくるから」


 日奈はそう言いながら、ドーナツの入った袋をかっさらい、駅の方へと走っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ