08 初依頼は波乱の予感
「おはよー!彰君!」
「ゔっ“!?」
(………この流れ、2回目だ)
「お、オレオ………。昨日も言ったが、上に乗って起こすのは寝坊の時だけにしてくれ……」
するとオレオはきょとんとして言った。
「え?でも、もう7時………」
「え……」
少しの間沈黙が流れる。
「嘘だろ!?」
「本当ですよ。全く……今日は依頼が入っていると管理長が仰っていました。なのではやく支度しちゃってください」
あまりの寝坊っぷりにサイダーは呆れる。
「うっ………悪い」
(ちゃっちゃとしないと怒られるタイプだな。早く支度しよう…)
いそいそと支度をし始めた。
__________
「支度終わりましたか。じゃあ依頼内容を見るのでこっちに来て下さい」
「おう」
サイダーのいる方へと向かうと、1台のパソコンが置いてあった。
「……ん?何だこれ?」
「パソコンですよ。これで世界中の情報が見れるんです。まぁ、これは依頼内容を見るぐらいしか出来ないですけどね」
「世の中便利になったもんだな」
「彰はおじいちゃんか何かなんですか?」
真剣にツッコミを返してくるサイダーにぷっと吹き出す。
すると不思議そうな視線を彰に向ける。
しかしすぐにパソコンに目を向け話し始める。
「動画なのでしっかり見ておいて下さいよ」
「おう」
そうして動画を回す。
『今回の依頼は魔獣退治だ。レイズの寿町にある廃ビル、「杏璃」に大量の魔獣が蔓延っている。B班にはそれらを各々の方法で駆除をしろ。尚、今回蔓延っているいるのは小型の物が多い。今回依頼に向かわせるのはサイダー、彰、桜、そしてジュンだ。それと、彰は新人だと管理長から聞いた。なのでA班の者を2人向かわせる。……それと、あくまでお前らはスパイだ。だからあまり派手にやるなよ。以上だ』
画面が黒くなる。
「……これで終わりです。理解はできましたか?」
「あぁ。寿町とかはわからねぇけどな。っていうかA班の人が来るって言ってたが、どんな人なんだろうな」
「さぁ?」
サイダーの返答から恐らく、他の班との人達とはあまり接点が無いようだ。
「駆除かー。私の得意な変装は生かせなさそうだね。まぁ、頑張るか!」
桜はいつもどうりポジティブ思考だ。
そんなにポジティブでいられるのが羨ましい。
「……ん、俺か。一応狙撃も得意分野だし頑張るとするか」
追跡も狙撃もできる。
改めてスパイはすごい。
「っていうか、サイダーは何が得意なんだ?」
「ん?私は基本的に近接戦闘です。武器はナイフとか剣とか使ってます」
「近接戦闘か。俺と同じだな。ちなみに俺は鎌を使ってるぞ」
「鎌ですか。あれ重いので扱い難しいんですよね。尊敬します」
サイダーの柔らかな笑みに心を揺さぶられる。
いつもはこんな笑みを浮かべないから新鮮だ。
「あらあら。いちゃいちゃしちゃって」
「し、してねぇよ!」
「桜!何を言って……!?」
「顔が赤いですよお二人さ〜ん」
「桜、すぐ人をからかうのは辞めなさいと言っただろうが」
この人達なら安心できる。
そう心の底から思った。