07 堕ちたもの達
魔王城 アンキャニー
ここではメイド達が忙しそうに働いている。
その中で一人、大広間に向かって走っていく人影があった。
「おーい!誰が来てるか!?」
黒い髪に青いメッシュが入っており、頭には黒い角が生えている。
紫と黒のオッドアイだ。
「誰もいないな!オレが一番乗りだぜ。あいつらおっせぇなぁ」
にゃーん
突然猫の鳴き声がした。
視線をそらすと黒猫が一匹。
「なんだ……ビビかよ。驚かせんな」
瞬間、霧が一部に広がる。
黒猫の所だ。
そして黒猫が人間の姿に変わる。
「………ごめん。ロイド」
黒のロングヘアに目。
猫の耳と尻尾もついている。
「………魔王様からの命令で、ちょっと探索に……」
「はぁ!?」
魔王様と言う単語が出てきた途端態度が変わる。
「お前っ……魔王様から直々に命令だと!?ずるいにも程があるぞ!?」
「えぇ………」
「……ん?ちょっとー?ビビちゃん困ってるじゃん。弱いものいじめはよくないって」
大広間にもう一人入ってきた。
ピンクの髪にピンクの目。
髪には黄色のメッシュがあり、右耳の方に編み込んでいる。
頭には黒いキャップを被っている。
「………しぐれちゃん。……わたしは大丈夫」
「え〜?でもでも。、追い詰めるのは普通によくないよ?ルミ姉もほら〜」
しぐれがルミの腕を引っ張る。
「はいはい。ロイド。あんまりビビを困らせちゃダメよ。貴方はいつも人を困らせて……」
銀髪にフリルのついた魔女帽を被っている。
ビビと同じ様な黒い目をしていた。
「おい!ルミ!誰がいつも人を困らせるだって!?」
「貴方に決まってるでしょう」
「はぁぁ〜〜??」
「あっちゃ〜。喧嘩始まっちゃったね〜。よしたほうがいいって」
「…………喧嘩、やめようよ」
ビビとしぐれが喧嘩を止めようとしている時。
「ひれ伏せ!!」
大きな声が響き渡る。
玉座の方を見ると、誰かが座っている。
「この……大魔王ゼオン様に恐れおののくがいい!!」
(うひゃー。やっぱり、魔王様ちっちゃくて可愛い〜)
玉座には小学1〜2年生程の身長の子供が座っていた。
京紫色の瞳には吸い込まれるような威厳を感じ、墨色の髪はふわふわとしている。
「この玉座に座るのは久しぶりだな。むっ。やはり足が届かず座りづらい。今回!貴様ら幹部を呼んだのは言うまでもない、この魔王城は突然裂け目によりこの未知なる世界へ飛ばされた。ならこうしよう。この世界を支配する。そうだ、ビビに偵察に行ってもらってたんだった。どうだったの?」
「………はい。………大きな建物に人間が入っていきました。どうやら……事務所?といった所……のようです。………おそらく能力者です」
オドオドしているが、威厳がある。
幹部になったのも納得だ。
「ほうほう。能力者が大きな建物にねぇ……。そうだ!お前たちに命令だ!能力者たちをここに連れてこい!そいつらはもしかしたらいい道具になるかもしれないでしょ。役目が終わったら殺しておいて。あと、この事は他の子たちにも伝えといてね!ふわぁ……眠くなっちゃった。ぼくはもう寝るね。あと、失敗したりやらかしたら……お父さんに言っちゃうからね!」