45 少しだけの休息 2
「………遅い」
何故給湯室に行くのに20分もかかるのですか!
サイダーは呆れてため息を吐く。
するとドアの開く音が聞こえた。
「あはは〜……ごめんね。遅くなっちゃった」
傑の手には紙袋が握られている。
それもそこそこ有名な店のものだった。
「……遅いですよ」
「ごめんごめん。ちょ〜っとトラブルがあってね……神楽ぁ……」
「ん?何か言いましたか?」
「いや、別に。食べようか」
傑はいつもの調子を取り戻した様に微笑む。
サイダーは黙って頷く。
食器には青い花がらの模様が彫ってある。
この間の依頼を思い出す。
「……この食器綺麗だよね〜。この花ワスレナグサって言うんだって」
「そうなんですね」
皿にクッキーとマカロンが置かれる。
色鮮やかで見映えもいい、思わず見惚れてしまった。
そんなサイダーに傑はくすりと笑った。
「……ふふっ。じゃあ食べようか」
「はい。いただきます」
クッキーを口に運ぶと、香ばしいバターの香りが鼻を擽る。
それと同時にチョコレートの甘みが口に広がる。
確信した。
これ……カロリーえげつない。
「……美味しい!さっすがかぐ……ゲホッゲホ」
「だ、大丈夫ですか…!?」
サイダーが心配そうに顔を覗き込む。
傑は誤魔化すように紅茶を口に運んだ。
「だ、大丈夫……。食べようか」
傑はぎこちない笑顔を見せる。
(はは……神楽に俺が食べたことは内緒にしといてくれって言われちゃったんだよね……)
「……そ、そうですか」
やはり心配そうにしている。
本当にお人好しだ。
「……ん、マカロンも美味しいですね」
「…うん。美味しい、また今度買いに行こうかな」
にこにことして食べている姿を見ると、自然と笑顔になった。
やっぱり美味しそうに食べるところは彰と変わりない。
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「……アンタ、何があったのさ」
自室で拘束魔法を掛けられている神楽をクロエが見つけた。
「傑さんのクッキーを勝手に食った罰です」
「そうなのかい」
クロエはそのまま出ていこうとする。
「待って待って待って待って!!」
「なんだい?」
「姐さぁん……助けて……」
涙目で訴える。
クロエはため息を吐き、振り返る。
「アンタねぇ、人の給料で買ったもん勝手に食べたんだから当たり前でしょうが。そのまま大人しくしてな」
そう言ってドアを閉めた。




