40 温もり
スミレさんがここに来て、早三日が経った。
やっぱり元メイドなだけあって、仕事が良くできる。
「起きましたか?お掃除終わらせておいたよ!」
朝早くから元気だ。
ついこの間まであんなに泣いていたのに。
ローズさんはしばらくこちらに通っている。
スミレさんが氷血病の根源を解いたが、それでも完治したとは言えない。
「……ありがとうございます、ごめんなさい。本当はスミレさんは休まないといけないのに」
「そんなことないですよ!本当に迷惑かけちゃったから。それにこれはわたしの好きでやっているので!」
「……そうですか、ありがとうございます」
スミレはにっこりと笑い、部屋を出ていった。
少しサイダーは考える。
「……傑さんに、頼んでみましょうか」
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「……お屋敷に?」
スミレは驚いた顔をして聞き返す。
「えぇ。もうしばらく経ったし、合いたいのではと思ったので」
「…………わたしが、行ってもいいんですか?」
「もちろんです。髪色や目の色が違っても、貴女は貴女です。スミレさんが見つかったと言ったら、街の子ども達は喜んでいましたよ」
「っ!あの子達が?」
「はい」
スミレは少し俯いて考えた。
(……わたしが、あの子達と会ってもいいの?わたしは、殺人をしようと……!)
「……分かりました。行きます」
その返答を聞き、静かに頷いた。
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………せっかくだし、何か買っていった方がいいよね。
林檎とかがいいのかな?
でも、わたしをまだ信用できていないかもしれないし……。
「……おい!もしかしてあれ……!」
子どもの声が聞こえ、振り返る。
そこには見覚えがある子たちがいた。
「やっぱり!スミレねぇちゃんだ!」
「おねぇちゃん!」
ぞろぞろと足元に子ども達が集まってくる。
「みんな!どうしたの?」
「ねぇちゃん、急にいなくなるから、おれたち心配したんだぜ!」
「っていうか、お目々と髪の毛!色かわってる!」
「あっ……」
どうしよう、おかしいって思われるよね。
はぁ……どう言い訳しよう。
「かっこいい!!!」
「………え?」
予想外の言葉に驚く。
子ども達は続ける。
「前の真っ白な髪の毛もかわいかったけど、今の真っ黒な髪の毛もかわいいし、かっこいい!」
「だよな!それに、目も!あの……絵本とかに出てきそうな、かっこいい目してる!すっげぇうらやましい!」
純粋な子ども達の意見を聞いて、心底安心した。
それと同時に、とても暖かな気持ちになった。
子ども達はぎょっとした顔をして声を荒げる。
「どうした!?ねぇちゃん、ははは腹でも減ったのか!?」
「ばかぁ!そんなわけないでしょ!何かつらいことでもあったの!?」
「おかしあるよ!食べてぇ!!」
「ははっ。大丈夫、ただ……嬉しいだけ」




