38 人間か、人外か
「170〜」
「どういたしました?」
「魔王様から直々に命令が来たんだよ!しかもワタシ達に!」
「わたし達……ということは、わたしも含まれているのですか?」
「そーそー。喜んでいいよ」
「嬉しい限りです。……あの」
「ん〜?」
「内容を聞いても……?」
「街外れにあるお屋敷の主人を奇病で死なせて来いって、死体は持ってきて欲しいらしいよ」
「………了解しました」
それでわたしはここに来て、旦那様を殺そうとしたの。
みんなみんな酷いんだよ。
わたしの仲間も後輩も、街の人だって殺された!!
でも、あの人には……逆らえないから。
__________
「これが……わたしの過去。これでいい?」
「……想像以上に、辛かったんですね」
傑が拘束を解いた。
ここまで話すなら、敵意がないことは確認できた。
ガラスが割れる音がする。
「………スミレ?」
烏の姿を見て、デイジーは目を見開いている。
「……デイジーさん」
「…あ、そうだ。前はこのお屋敷で……」
デイジーがスミレの方に向かって走り出す。
スミレは怒られると思って目を瞑った。
しかし、伝わったのは温かい温もりだった。
「え?」
「ひぐっ……うぅ……良かった……良かったぁ…いっ、一ヶ月も……いなくなってっ……じんぱいっ……したんだから……!」
デイジーはスミレを優しく抱き、号泣している。
泣いているデイジーにスミレは驚いている。
「何で……?」
「何でって……一ヶ月もいなくなったら、心配するに決まってるじゃない!」
「っ!」
スミレは歯を食いしばり、腕を振り払った。
その様子にデイジーは驚く。
「何で!?わたしはもう、人間じゃないの!!」
「人間じゃ、ない…?」
「そうだよ!いろんな鳥の遺伝子を注入されて、ぐちゃぐちゃになった化け物なんだよ!それにわたし、旦那様を殺そうとしたの!恨んでよ!妬んでよ!……殺してよ」
……これが、スミレさんの心の叫びなの?
とてもそうとは思えない。
突然、デイジーがスミレにビンタをした。
「っ!?」
「何言ってるの!?人間だとか人間じゃないだとか関係無いの!見た目が人間じゃなくても、貴女自身の心は人間なのよ!羽が生えてたり、目の色が変わっていても、見た目はそのまんま貴女でしょ!?」
「っ!!!」
お互い涙目になっている。
スミレが、本音を出した。




