27 白いカーネーション
一週間前____。
「……♪……♪」
一人のメイドが鼻歌を歌いながら仕事をする。
目線の先には、白いカーネーションが。
「……綺麗…!旦那様が買ってきたのかしら。ならなるべく長く咲いていてほしいわ」
そうしてメイドは水を汲みに行き、誰かとぶつかってしまった。
「あ……!も、申し訳ございませ……。っ!だ、旦那様……!?」
なんとぶつかった相手は主人だったのだ。
「……すまない。よく前を見ていなかった。……怪我はないか?」
「は、はい!こちらこそ申し訳ございません……」
「お前が謝る必要など無い。……そのじょうろは?」
「あ……!綺麗なカーネーションが飾ってあったので、水をあげようと」
「ほう……」
主人は何かを考え、提案をした。
「私にも水をあげさせてくれないか?」
「……へ?」
突然の要求に驚く。
そして主人はまた喋り出す。
「……だめか?」
「い、いえ!では、行きましょうか」
(い、いけません……!私の様なただのメイドが、旦那様にご好意を示すなど……!!……それに、叶わぬ恋なのだから……)
平然そうに振る舞うが、心の中では、とてつもない緊張が押し寄せている。
そよ風が二人を急かしながら、中庭を歩いていく。
「……そよ風が気持ちの良い時期になってきたな」
「そうですね。……旦那様は、お花見など行く予定はあるのでしょうか」
「特に予定は無いな。……一緒に行くか?」
「ふぇっ!?えっ……あ……旦那様……?」
メイドは驚きの余り、変な声を出す。
そんなメイドを見て、主人は可笑しそうに笑う。
「くふっ……!ははっ。はぁー……お前、意外と面白いんだな」
「わ、笑わないで下さいよ〜……」
「悪い」
そう言って主人はメイドの頭を優しく撫でた。
「ちょっ……旦那様!?」
「笑わせてくれたお礼だ」
またメイドは顔を赤くした。
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「……こうか?」
「あ、いいですいいです。根本に水をあげるんですよ」
主人が慣れない水やりをしながら、メイドはそれを幸せそうに見守るという構図が出来上がった。
そしてメイドはふと疑問に思う。
「カーネーションは、旦那様が買ってきたのですか?」
「……ん?あぁ、私だ。綺麗だったからな」
「そうだったのですか。……本当に綺麗ですね」
「……また買ってこようか?」
「よろしいのですか?」
「あぁ、水やりも楽しいしな」
こんな素敵な日常が、いつまでも、続けば良かったのにな。




